英博物館、DNA構造解明ワトソン博士の講演中止 差別発言で
2007.10.18
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20:10
JST
- CNN/AP
ロンドン──英国ロンドンの科学博物館は17日、今週末に予定していた、DNA(デオキシリボ核酸)の二重らせん構造を解明した業績でノーベル賞を受賞した米科学者、ジェームズ・ワトソン博士(79)の講演を中止すると発表した。英紙に対し、「黒人は白人よりも知性が劣る」と、人種差別的な発言をしたため。同博士の講演会については、すでに入場券が完売していた。
ワトソン博士は1962年に、フランシス・クリック博士とモーリス・ウィルキンス博士と一緒に、ノーベル生理学・医学賞を受賞。博士らの業績によりDNAの分子構造が解明され、その後の遺伝学のみならず、生理学、医学、生化学など広い分野において、さまざまな研究が飛躍的に進んだ。
ワトソン博士は新著「Avoid Boring People: Lessons from a Life in Science」の宣伝で17日から英国を訪問。科学博物館で19日に講演を行った後、英国各地でサイン会などを開く予定だった。英国到着に先立ち、英紙サンデー・タイムズの取材を受けていた。
取材で博士は、「アフリカに対する見通しは、本質的に悲観している」と発言。なぜなら「すべての社会政策は、彼らの知性が我々と同等であるという事実に基づいて行われているが、あの土地で出てきた結果はすべて、これが真実ではないことを示している」と続けた。
また、すべての人々が等しいと思いたいが、「黒人の従業員を雇う人々は、(人々は等しいということが)真実ではないと分かっている」と主張した。
サンデー・タイムズはこの発言を「アフリカ人は西洋人よりも知性が劣る、DNAパイオニア博士が語る」との見出しで一面に掲載したほか、これまでにワトソン博士が発した、議論を招いた発言を紹介した。
この発言に、さまざまな方面から批判が相次ぎ、科学博物館は講演会直前の17日夜に、「博士の発言は常軌を逸している」として、キャンセルを決めた。