稲枯らすウンカ、九州・山口で猛威 中・越から飛来2007年10月19日20時55分 中国やベトナムから飛んできて稲に寄生し、収穫前の田んぼを枯らす害虫のウンカが、九州・山口で猛威をふるっている。2年前から大きな被害が出るようになり、この秋も田んぼが坪単位で一気に枯れてしまう「坪枯れ」が各地で発生している。専門家は国際的な対策を探り始めた。 福岡・筑豊地方の農家の男性(64)が水田の異変に気づいたのは9月末のこと。一部の稲に元気がなく色も変化した。 数日後、異変のあった稲は一気に枯れていった。犯人は体長5ミリほどのトビイロウンカ。稲の汁液を吸い、繁殖を繰り返す。この男性は「2年前から見るようになったが、今年は異常に多かった」と話す。これ以上の被害を防ぐため、十分に実っていない稲も刈らざるをえず、収量は平年から約3割減りそうだという。 山口県病害虫防除所が8月に発生状況を調べたところ、防除が必要な水準を超える水田の割合が全体の29%に達し、平年値(7.7%)を大きく上回った。このため、過去20年出したことのない「発生警報」を出した。 山口でウンカの飛来が目立つようになったのは05年以降。今年も「かなりの水田で坪枯れが出た」と防除所。 熊本県でも05年に急増し、県内約2000ヘクタールの水田で被害が出た。その教訓から同県は早くから防除対策をとったが、それでも05年の半分ほどの被害は出ると予測している。 九州沖縄農業研究センター(熊本県合志市)によると、発生源のベトナムや、ベトナムから中国に飛んで繁殖したウンカが夏場、日本に飛来する。近年、両国で大量発生しているとみられる。 鹿児島県農業開発総合センターは6月ごろ、ある農薬メーカーから「中国でウンカ大量発生」という情報を得て、防除を呼びかけた。それが奏功してか、今年、県内で坪枯れが出た田んぼは数十ヘクタールにとどまりそうだ。 だが、農薬頼みの防除がいつまで有効なのかは分からない。「ベトナムや中国で農薬使用が増え、ウンカが農薬への耐性を持つようになってきた」との見方もある。 新たな対策を探ろうと九州沖縄農業研究センターは今年から、ベトナムの研究機関と共同調査を始めた。 PR情報この記事の関連情報暮らし
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