EU、新条約の採択合意 政治統合加速へ外相を新設2007年10月19日14時09分 欧州連合(EU)は19日未明、リスボンで開いた非公式首脳会議で、EUの新しい基本条約になる「リスボン条約」の採択で最終合意した。27カ国に膨らんだEUの民主的・効率的運営をめざし、政治分野の欧州統合をさらに加速する。12月13日に各国が署名し、批准作業を経て09年1月の発効をめざす。 新条約はこれまで「改革条約」と呼ばれたが、首脳会議でリスボンでの署名が決まり、名称を変更する。議長国ポルトガルのソクラテス首相は19日未明の記者会見で「欧州は危機を乗り越え、未来に挑戦する準備が整った」と述べた。 リスボン条約では、政治統合を進めて外交力を強化するため、EUを代表する欧州理事会常任議長(EU大統領)と、「外相」にあたる外務・安全保障上級代表ポストを新設する。外務省に相当する「欧州対外活動庁」も設置する。 初代のEU大統領には、英国のブレア前首相やルクセンブルクのユンケル首相、アイルランドのアハーン首相らが取りざたされている。 また、行政機関にあたる欧州委員会の定員と欧州議会の定数を削減し、巨大化したEU機構を簡素にする。欧州議会の権限は強める。最終的な意思決定は「加盟国数の55%以上で総人口の65%以上が賛成した場合」に可決とする「二重多数決」を採用する。 首脳会議では、ポーランドが「意思決定で少数派の意見尊重」を求めて議論になった。このため一部加盟国が反対した場合、議論を一定期間は継続できることを申し合わせて決着した。 現行のニース条約は加盟国を現在の27までしか想定していない。リスボン条約が発効すれば、今後のEU拡大への道筋がつく。クロアチアやマケドニアが早期加盟をめざすが、最大の懸案は加盟候補国のまま留め置かれているトルコの扱い。イスラム教国トルコの加盟については、サルコジ仏大統領が反対するなどEUの反発が強く、リスボン条約の発効で、トルコ問題が再び議論になるのは確実だ。 EUはもともと「憲法条約」の締結をめざしたが、フランスとオランダが05年、国民投票で批准を拒否して挫折。リスボン条約は、憲法条約から「EU旗」「EU歌」など超国家を連想させる項目を削除したが、主要な内容は維持した。 PR情報国際
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