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福祉と財源 まず消費税ありきでは(10月19日)将来の社会保障費の財源をどうするかは、大いに議論してもらいたい。だが、それが消費税率引き上げしかないかのような進め方は、あまりに乱暴だ。 内閣府が年金や医療、介護など社会保障の負担と給付に関する試算を政府の経済財政諮問会議に示した。 現在の医療・介護給付の水準を維持するためには、二○二五年度に最大で三十一兆円の増税が必要になる。消費税で賄うなら17%まで税率を引き上げなければならないという。 政府・与党内でも参院選では争点になるのを逃げていたのがうそのように、税率引き上げに積極的な発言が目立つようになった。 だが、ちょっと待ってほしい。 財政再建の観点からも財源問題は避けて通れないが、ここは消費税率引き上げが国民生活に与える影響についてもじっくり考えるべきではないか。 消費税は低所得者層ほど負担が重くなるという逆進性がある。増税は所得の低い高齢者やワーキングプア(働く貧困層)といわれる人たちの生活を直撃することになる。 政府は格差是正を政策課題に掲げているが、税率引き上げはそんな努力を帳消しにしかねない。 景気への影響も心配だ。一時的な駆け込み需要はあるだろうが、それが終われば消費が落ち込み、景気全体の足を引っ張る恐れもある。 政府・与党内でこうした懸念について真剣に検討が行われてきたとは思えない。十分な説明もなく、いきなりこんな高い税率を示されても、国民は面食らうばかりだ。 そもそも社会保障費の財源は本当に消費税が適当なのかという議論もきちんとはなされていない。 たとえば法人税だ。税率が段階的に引き下げられ、大企業の経常利益はバブル期より大幅に増えているのに、納めている法人税や法人住民税、事業税などはむしろ減っている。 景気拡大で大企業は史上空前の利益を上げているのに、国や地方の税収が思ったように増えないのは、こんなところにも原因がある。 経済界は法人税率のさらなる引き下げを求め、政府も理解を示しているが、その一方で個人に負担増を強いるのでは筋が通らない。 「金持ち優遇」と批判されている株式の配当や譲渡益への軽減税率をはじめ、資産課税、相続税など、検討すべき税はほかにもある。 ○九年度までに基礎年金の国庫負担割合が三分の一から二分の一に引き上げられ、その財源をどうするかは喫緊の課題だ。 まずは歳出削減をこれまで以上に徹底することだ。その上で、増税が必要なら、消費税を含めた税体系全体を見直すべきだろう。 |
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