小諸市の宗教法人「紀元会」の信者ですし店経営、奥野元子さん(63)が集団暴行されて死亡した事件で、紀元会が肩代わりしていたすし店の経費などが、約1年前からすし店で支払うように変更されていたことが分かった。初代の教祖の死後、奥野さんと教団との間に関係の変化があったという指摘もある。
関係者の話によると、死亡した奥野さんは京都府出身だが「子どもの病気が教団の『紀元水』によって治った。本部のある同市に住みたい」と初代教祖(故人)を頼って、約20年前、2人の子供らと経営していたすし店に移り住んでいたという。
土地は教団所有(04年に奥野さんに所有権移転)で、84年9月に2階建て店舗兼住宅を新築した。すし店は教団関係者や信者が頻繁に利用し、地元では「大和神社(紀元会)のすし店」と言われていた。また店の経費なども教団で支払うなど、資金援助を受けており、「教祖が京都から連れてきた信者」として知られていた。
しかし昨年夏ごろ、業者が教団に集金に行ったところ、「すし屋に請求してくれ」と言われたという。業者は「その時は教団と奧野さんとの間に何かあったのかと思った」と話す。
◇行事に信者参拝--紀元会本部
「紀元会」の「道祖神祭」である17日、小学生から年配者からまでさまざまな年代の男女40人ほどの信者が参拝に訪れていた。駐車場には群馬や静岡など県外ナンバーの車が多くとまっており、左襟や左胸に金色のバッジを着けた信者らは次々と教団内の施設へ入っていた。鳥居に向かって数回お辞儀をするなど熱心に参拝をしている様子が見られた。
関係者によると、毎月17日には「道祖神祭」という「お守りのお礼をする」儀式が行われているという。静岡県から訪れたという男性信者は「事件があったので、参拝できるか心配していた。教団からは事件に対する説明などはなかった」と話した。女性信者は「不定期だが、自分の反省を述べてアドバイスをもらう集会はある。なぜ事件が起きてしまったかわからない」と話した。
毎日新聞 2007年10月18日