公立紀南病院組合議会の第4回定例会が18日、田辺市新庄町の紀南病院で開かれ、2006年度の収支決算が14億6700万円の赤字になることが報告された。累積赤字は05年度末の28億2300万円と合わせて42億9000万円に上る。05年度の決算と同様、減価償却費など病院の新築移転に伴う費用が赤字の大きな要因だが、診療報酬の引き下げや医師不足による入院患者数の減少も影響している。赤字額について病院は「単年度でみると収支目標を下回っており、経営改善の努力が必要」と話している。 紀南病院組合事業報告書によると、紀南病院と紀南こころの医療センター(田辺市たきない町)を合わせた06年度の入院延べ患者数は20万200人(前年度比5866人の減少)、外来の延べ患者数は22万4538人(同5187人の増加)だった。総収入が101億8759万円だったのに対し、総費用は116億5494万円で赤字となった。 医業収益は前年度と比べて2億5000万円の増収だった。入院患者数の減少で入院収益は423万円の減収だったが、検査や放射線、処置の診療収入が増加したため、外来収益は2億円の増収だった。一方、支出は給与費が医師手当の見直しや看護師の増員などで3億8200万円の増加になった。 監査委員は、収益対策として「最新の医療機器や設備を最大限に活用するのはもちろんのこと、地域の医療機関との連携を継続し、救急搬送の受け入れを積極的に進め、診療単価や病床稼働率のアップにつなげてほしい」と要望した。また、こころの医療センターの医師の充足率低下が、病床稼働率の低迷につながっているとし、精神科医の確保を求めた。 管理者の真砂充敏田辺市長は「監査委員の意見を厳粛に受け止め、最大限努力したい」と述べた。 病院経営中期計画によると、累積赤字は2010年度がピークで約67億円になるが、単年度収支は同年度から黒字で、11年度からは移築に伴う減価償却費などが少なくなり安定期に向かうと予測している。 06年度事業決算認定は、決算審査特別委員会(議員6人)に付託し、閉会中の継続審議にすることとした。業務委託見直す 同日の定例会で、病院は、「病院の施設維持・清掃・警備保安管理業務」「物品・物流管理と滅菌消毒業務」「医事・宿日直業務」の契約を08年度からそれぞれ、条件付き一般競争入札にする補正予算案を提案し、可決された。入札は12月中旬から08年2月中旬にかけて行う。契約期間と限度額も定めている。 清掃や警備を委託している現在の総合ビル管理業者とは、入札ではなく実績や取り組み姿勢などで受注業者を決める「プロポーザル方式」で選定し、随意契約している。業務によっては外注しており、これまでの組合議会定例会で、選定方法や委託料の見直しを求める意見が出ていた。 入札の参加資格は、施設維持・清掃・警備保安管理業務が、近畿2府4県で、一般病床300床以上の公立病院の総合管理実績があること。物品・物流管理と滅菌消毒業務が、一般病床300床以上で、手術室での年間手術件数が3600件以上の公立病院で受託実績があることなどを条件にしている。 中本政吉副管理者は「これまでもすべての委託業務で一括して下請けに出すことは認めておらず、下請けに出している警備や清掃にしても、元請けの会社が責任を持ってその業者を管理する形でやってきた。今後は、特に施設維持や滅菌については有資格者等の名簿を提出させ、受注したらこういう有資格者を配置するということを明示してもらい入札したい」と述べた。