遺族の訴えを棄却/少年・熱射病死亡
地裁沖縄支部判決「医師の治療妥当」
【沖縄】高校の部活動中に重度の熱射病で倒れ、搬送先の宜野湾市内の病院で悪性症候群のため死亡した少年=当時(15)=の遺族が、死亡原因は医師が熱中症と診断を誤り他の高次医療機関へ早急に転送する注意義務を怠ったなどとして、病院に約八千三百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が十八日、那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)で言い渡された。河合裁判長は「医師は診断を誤ったが熱射病としても妥当な治療を行っている。高次医療機関への転送判断は当時の被告病院の医療水準を超えていた」などとして遺族の請求を棄却した。
判決などによると、少年は二〇〇三年七月十日午後六時半ごろ、重度の熱射病で病院に搬送された。治療した医師は熱疲労と熱射病の間の熱中症と診断、点滴治療や体温を下げる処置で少年の体温は一時的に下がった。その後体温が再び上昇し、血圧も下降したため透析治療が必要と判断、翌朝になってほかの病院への転送を手配したが二カ所に受け入れを拒否され、少年は搬送から約十八時間後に死亡した。
少年の父親(54)は「一人の医師の判断の誤りで息子は死亡した。医師の注意義務がないという判決は納得がいかない」と控訴の意思を示した。
|