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【静岡】首都圏に人材流出し看護師が足りない 県立がんセンター2007年10月19日 2008年度の看護師採用試験の第1期募集が大幅な定員割れに陥った県立静岡がんセンター(長泉町)で、9月に実施した第2期募集でも、合格者が定員の3割未満にとどまっていたことが18日、分かった。同センターは「ここまで厳しいとは思わなかった」と苦悩。22日から30人程度の追加募集を行い、人員確保を目指す。 がんセンターによると、9月に実施した第2期募集では、定員100人に対し応募者が35人しかなく、合格者は29人だった。 7月の第1期募集では100人の募集定員に対し、応募者が39人、合格者が39人で、第1期と第2期の合計は68人にとどまった。同センターは08年度の全床開棟を目指して140人程度の採用を見込み、4月以降に東京、大阪、名古屋などで就職説明会に出展するなどしてきたが、成果が上がらなかった。 宮城島好史・マネジメントセンター長は「応募者増に期待したが、効果が出なかった。待っている患者は多いので、年度途中でも看護師が集まり、フルオープンできれば」と話す。 県厚生部によると、がんセンターを除く県立の3病院(総合病院、こども病院、こころの医療センター=いずれも静岡市葵区)の看護師については県が一括採用。募集定員108人に対して応募者数130人で、合格者は112人と、募集定員を満たした。 がんセンターの人材確保難の理由について、宮城島さんは「地理的要因が大きい」とみる。06年4月の診療報酬改定で、看護師を多く集めると報酬を高く設定できるようになり、東京や神奈川などの大病院に人材が流出。首都圏に近い県東部地域は、特に影響を受けているという。 県は問題の打開に向け、県立東部看護専門学校(清水町)の定員を倍増して東部地域の看護師増を図るほか、育児などで現場を離れた潜在看護師の掘り起こしに力を注ぐ。がんセンターは、本年度から院内保育所を365日、24時間体制とし、働きやすい環境づくりに努めている。 診療報酬改定は2年ごとで、次は08年4月。宮城島さんは「厚生労働省は現場が苦しんでいる声を受けて、必要なところに看護師が集まる制度づくりをしてくれるよう望む」と期待を寄せる。
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