腎不全などで入院中に多臓器不全で99年5月に死亡した女性(当時74歳)の遺族が、強い副作用がある薬の服用を事前に説明しない治療方法などに問題があったとして、鳥取市立病院(鳥取市的場1、管理者・竹内功市長)を運営する同市を相手取り慰謝料など約3147万円の支払いを求めた訴訟で、鳥取地裁(古賀輝郎裁判長)は18日、原告の請求を全面的に棄却した。
判決は▽女性の死因の多臓器不全と病院が行ったステロイド療法の間に因果関係はない▽同療法の説明は事前に行われていた▽女性が亡くなる3日前に肺水腫や呼吸困難になる原因となった点滴が大量に流れた事故は女性が勝手に装置を操作して引き起こしたもの--などとし、病院側の過失を認めなかった。
これに対し原告側は▽99年3月に女性が入院した後、担当医から説明なしに受けたステロイド療法が多臓器不全の原因となった▽点滴の事故は担当看護師のミス--などと主張していた。
同病院は「病院の対応が認められた。今後とも医療の向上に最善の努力を続ける」とコメントした。
女性の遺族の長男(57)と次女(54)は「事前にステロイド療法の説明は受けていなかった。提訴の前の病院側との話し合いでは治療のミスを認めていたのに……」と納得できない様子だった。遺族側弁護士によると、控訴する方針だという。【宇多川はるか】
毎日新聞 2007年10月19日