◇陳情に山梨大、「医師派遣困難」
県東部地域で唯一出産ができる都留市立病院(同市つる5、140床)で来年3月から分娩(ぶんべん)ができなくなる可能性がある問題で、小林義光市長ら約20人は18日、市民約2万人の署名を山梨大医学部付属病院(中央市)の星和彦・病院長らに手渡した。同大医学部による産婦人科医の引き揚げ方針が“産科消滅”の原因だが、星病院長は「全国的に産婦人科医の成り手が非常に少なく、後任が見つかりにくい」と話し、派遣継続が極めて難しい状況であるとした。
都留病院などによると、同学部は今年3月、安全な分娩に必要な麻酔科の常勤医が確保できない場合、08年4月以降の産婦人科医の派遣は困難との方針を提示。このため、都留病院は8月から、来年3月21日以降に出産予定の分娩予約を休止し、麻酔科の常勤医を探しているが、見つかっていない。
一方、星病院長によると、富士・東部地域では都留病院を含め計3病院に産婦人科医を同大医学部から派遣しているが、すべての病院への派遣継続は無理なため集約化を考えているという。
小林市長や市議、都留病院の大原毅名誉院長らが陳情。星病院長は医師の派遣継続が極めて難しいとしたうえで、「麻酔科医だけでなく、助産師や小児科医などを含め、(分娩に対して)万全な態勢が取られているかといったトータル的な問題」と話し、麻酔科医の確保が産婦人科医の派遣継続に直結するわけでないことも明らかにした。
一行は、横内正明知事にも署名を渡し、東部地域に分娩可能な病院を残すことを要望。横内知事は「地域バランスに配慮してほしいと考えており、継続できるよう努力する。万一、分娩継続が難しくなっても、妊婦が安心できるようなネットワーク作りをしていく」と応じた。【藤野基文】
毎日新聞 2007年10月19日