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遺棄化学兵器の「闇」露呈 PCI捜索 (2/2ページ)
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外務省幹部は国会で「化学兵器の残置が中国の同意のもとに行われたことを裏付ける資料はない。中国側がそう言っている」との答弁を繰り返してきた。
中国は当初、旧日本軍が遺棄したとする化学兵器の総数を吉林省ハルバ嶺を中心に200万発と主張したが、その後、30万〜40万発に下方修正した。中国側の言い分に根拠がない現実を物語る。
政府が11年度から18年度までにつぎ込んだ遺棄化学兵器処理事業費は約471億円で、今年度も約212億円を計上している。だが政府は事業費の詳細公表を渋り続けている。今後、発掘回収施設と無害化処理施設の建設費は2000億円を超え「日本の持ち出しは総額1兆円規模」(専門家)との試算もある。
中国問題に詳しい元外交官は、「中国にとって化学兵器処理事業は政府開発援助(ODA)に代わって日本からカネを引き出すカードになる」と言い切る。軍事専門家は「中国に流れる事業費の一部が、人民解放軍の近代化に資することにもなりかねない」とも指摘する。「政府は事件を契機に事業を中断し、すべてをガラス張りにすべきだ」という自民党議員の意見は暴論ではない。