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PCIが国家的プロジェクトを食い物 ODAで水増し請求
このニュースのトピックス:知能犯
大手建設コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)とグループ会社による不正支出疑惑に17日、東京地検特捜部による捜査のメスが入った。PCIグループは、中国での旧日本軍遺棄化学兵器処理事業だけでなく、政府開発援助(ODA)事業でも委託費を水増し請求するなど不正経理が常態化していた。特捜部の捜査によって、巨額の資金が投じられる国家的プロジェクトをも“食い物”にしようとしていたグループの実態解明が期待される。
PCIは昭和44年に設立され、グループ内でODAなど海外事業を担当。年間の売上高は100億円を超え、建設コンサルでは国内トップクラスの実績を誇る。一方、ODA事業をめぐる水増し請求や架空請求など不適切な経理処理を、発注者の国際協力機構(JICA)や会計検査院から再三指摘されてきた。
平成12年には、中米コスタリカの政府機関に測量業務などを下請け受注した際、約1800万円が使途不明に。このうち約500万円は、架空の領収書を使って流用していたことが判明。ほかにも不正が判明し、JICAから18カ月間の指名停止処分を受けた。
今年9月までに、11カ国39件での不正経理を検査院から指摘されており、JICAに約1億1000万円を返還させられている。
日本政府が海外で行っている事業を通じて資金を不正流用するという構図は、17日に家宅捜索を受けたグループ会社「遺棄化学兵器処理機構」(東京都港区)をめぐる疑惑とまさに共通する。関係者によると、同機構の株主には大手商社OBも名を連ねているといい、巨額の資金が投じられたプロジェクトにどんな人物が関与していたかなど、真相解明が待たれる。