大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)の特別背任事件で、元社長(71)らが遺棄化学兵器処理事業を巡る不正経理で利用したとされるグループ会社を別の土地取引でも悪用し、資金を流用した疑いがあることが分かった。東京地検特捜部は、このグループ会社をトンネル会社にして元社長らが不正経理を繰り返していたとみている。
このグループ会社は「パシフィックプログラムマネージメント」(PPM、東京都千代田区)。
関係者によると、PPMは03年、多摩市内の土地の開発事業に絡み、西東京市の不動産会社からコンサルタント料12億5000万円を得た。PPMはこのうち2億9000万円を立川市内のコンサルタント会社に支払ったが、このコンサルタント会社から元社長のファミリー企業にその半額が還流していたという。
元社長らは、この資金の流れを報じたジャーナリストを名誉棄損などで提訴したが、東京地裁は今年2月、「PPMからコンサル会社を経由して元社長のファミリー企業に金銭が還流した」と認定して請求を棄却し、「元社長に特別背任罪が成立する余地がないとは言えない」と述べた。遺棄化学兵器処理事業を巡っても、元社長らはPPMを不正な経理処理に利用したとされ、特捜部は17日、PPMを捜索した。
特捜部は18日、新たにPCIの別の元社長や現社長の自宅を特別背任容疑で捜索した。
毎日新聞 2007年10月19日 東京朝刊