大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京都多摩市)を巡る特別背任事件で、グループ会社の「遺棄化学兵器処理機構」(東京都港区)が政府から受注した中国での遺棄化学兵器処理事業の委託業務を、別業者に再委託する形で事実上丸投げしていたことが分かった。東京地検特捜部の調べでは、同機構がPCIの共同企業体に再委託した事業費の一部約1億円が不正流用された疑いがあり、巨額の公費が投入された事業の在り方が問われる事態になっている。
内閣府の遺棄化学兵器処理担当室によると、政府が発注した遺棄化学兵器処理事業の委託費の契約執行額は▽04年度約76億円▽05年度約74億円▽06年度約80億円。3年間で計230億円に達するが、いずれも機構が随意契約で受注、全事業を別業者に再委託していた。
このうち、PCIの共同企業体の再委託額は▽04年度約34億円▽05年度約23億円▽06年度約20億円に上り、結果的にグループ内で事業を回して利益を得ていた形だ。内閣府の担当室は「再委託先は委託先が決める。担当職員が少なく、直接ハンドリングするのは難しい」などと話している。
民間信用調査会社によると、同機構は04年3月、PCIの持ち株会社「パシフィックコンサルタンツグループ」(多摩市)が100%出資して設立された。現社長はPCIの元社員が務め、社員は約60人。
特捜部の捜査について、PCIは「事実関係を調査中だが、正確な情報を把握するに至っておらず、現段階ではコメントを差し控えたい。事実関係を調査し、適切な措置をとりたい」とのコメントを出した。
毎日新聞 2007年10月18日 7時09分 (最終更新時間 10月18日 9時53分)
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