海外コンサルタント事業で国内トップクラスの実績を持つ「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京都多摩市)の元幹部らに、特別背任疑惑が浮上した。PCIを巡っては、国際協力機構(JICA)が発注する政府開発援助(ODA)事業の委託費を巡り、会計検査院から不適切な経理処理が指摘されていたほか、元社長(71)の「公私混同」も取りざたされており、東京地検特捜部が捜査を進めている。
検査院は06年、PCIが偽造した契約書や領収書をJICAに提出して不正請求を行い、計1億365万円分が使途不明になっていると指摘。99~03年には、コスタリカなど4カ国で実施されたODA関連事業でも使途不明金が発覚し、PCIはJICAに4854万円を返還した。
PCIの不正経理は国会でも問題になり、06年11月の参院本会議で羽田雄一郎議員(民主)は「下請け契約していないのに架空の請求書を偽造するなど極めて悪質だ。刑事告発すべきではないか」と指摘。これに対し当時の麻生太郎外相は「JICAは、上限措置の18カ月間、指名停止した。業務目的外の流用が確認されないことなどを踏まえて、告訴は見送っている」と答えた。
元社長がPCIのグループ企業を利用し、親族が経営する企業に利益を還流させるなど、公私混同ぶりも指摘されていた。関係者によると元社長は01年、沖縄県でホテル建設を進めていた福岡市内の不動産会社に、ファミリー企業の負債を一時立て替えてもらう代わりに、グループ企業に10億円でホテルを取得させたという。
また、PCIのグループ企業が03年、都内の不動産会社から得たコンサルタント料12億5000万円のうち、2億9000万円が別の不動産開発会社に下請けに出された形になっていたが、開発会社からさらに元社長の別のファミリー企業にその半額が流れており、不透明な経理処理との疑惑も持ち上がった。
毎日新聞 2007年10月16日 15時00分
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