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かかりつけ医のない妊婦、たらいまわしの恐れも 茨城県が独自調査
かかりつけ医のない妊婦は、救急搬送の受け入れ先が見つけにくい−。急患の妊婦が医療機関を“たらい回し”される問題が全国各地で発生するなか、茨城県消防防災課がまとめた独自調査で、こんな実態が明らかになった。調査では、病院への受け入れ照会回数が16回に上ったケースも報告されたが、この妊婦もかかりつけ医がなかった。
調査は今年8月に奈良県で救急搬送された妊婦が複数の医療機関から受け入れを拒否され死産した事例を受けて、県内の実態を把握しようと実施した。平成18年1月から19年8月まで、県内の全26消防本部から聞き取りするなどして調べた。
それによると、期間中の妊婦搬送件数は651件。このうちかかりつけ医がいる妊婦の搬送件数は464件で、1回の照会で搬送先が決まったのは409件(88.1%)、2〜5回は45件(9.7%)、6回以上は10件(2.2%)だった。
一方、かかりつけ医がいない妊婦の件数は118件で、1回で決まったのは86件(72.9%)と、搬送先がすぐに決まる割合は低下。2〜5回と6回以上を合わせると32件(27.1%)で、かかりつけ医がいないと搬送先がなかなか決まらない実態が浮き彫りになっている。
16回の照会でようやく搬送先が決まった妊婦も、産科を受診したことのない女性だった。医療機関からは「手術中」「専門外」などの理由で拒否され続け、最終的には地域周産期母子医療センターに搬送されたという。
県消防防災課では「産科医不足があものの、救急隊としては受け入れ態勢の充実を図ってもらいたい」としているが、「妊婦にかかりつけ医を持たせるための啓発も必要ではないか」とも話している。