【北京=佐伯聡士】中国共産党の最高指導グループ、政治局常務委員(9人=うち1人は死亡)序列5位の曽慶紅・国家副主席(68)が、北京で開会中の第17回党大会で同常務委員を退任する見通しとなった。
関係筋が18日明らかにしたところによると、新たに選ばれる中央委員の候補者名簿に曽氏の名前がなかった。常務委員は中央委員から選ばれる。
序列7位の呉官正氏(69)と同9位の羅幹氏(72)も常務委員を退任する公算で、世代交代が一気に進むことになる。この結果、次世代指導者が新たに常務委入りし、胡錦濤総書記(64)の指導権が格段に強化される。
曽氏は常務委員を退任することで、来春の全国人民代表大会(国会)で国家副主席からも引退する。曽氏は「太子党」と呼ばれる高級幹部の子女グループ出身で、序列以上の実力者。江沢民・前総書記時代は、江氏の「懐刀」として党組織を掌握した。16回大会で、胡氏が総書記に就任してからも党務を取り仕切り、胡氏の権力基盤の強化に貢献してきた。曽氏は日本の政治家とも交友関係が広く、対日政策の決定にも重要な役割を果たしたとされる。