「障害者スポーツが撮りたかったのではない。あくまでもサッカー日本代表の映画という視点で撮った」

 熱烈なサッカーへの思い入れから、ドイツで2006年に開かれた知的障害者サッカーの世界大会に出場した日本代表の姿を追い、記録映画「プライドinブルー」を完成させた。

 青い代表ユニホームに身を包んでピッチに立つ選手たち。胸に手を当てて国歌斉唱し、対戦国の選手たちと激しくぶつかりながら、ボールを懸命に追う姿に「誇り(プライド)」を感じた。

 知的障害者サッカーとの出合いは5年前。日本であった前回の世界大会を観戦し、高い技術の外国チームのプレーに衝撃を受けた。

 映画化しようと自費で取材を開始。まずは日本代表選手の合宿練習を訪ね、名前と顔を覚え、顔見知りになってからは自宅や選手が通う特別支援学校にも出掛けた。

 学校生活、恋愛、そしてサッカーへの情熱…。16歳から33歳まで若者たちの等身大の日常にカメラを向けて「健常者と障害者の生活は、日々の思いも含めて何も変わらない。撮影を通じて、両者を分けて線を引くことの無意味さを実感した」という。

 制作会社が決まったのはドイツ大会直前。総撮影時間は約200時間に達した。フル代表のワールドカップ(W杯)アジア地区最終予選公認DVD制作に携わった経験もあり、試合シーンは臨場感にあふれている。

 福岡県大牟田市出身。九州初の上映会は11月30日午後7時から、同市の大牟田文化会館で開かれる。「古里で上映できるのはやっぱりうれしい」。東京都杉並区在住。47歳。 (大牟田支局・北島剛)


=2007/10/19付 西日本新聞朝刊=