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JBCから厳罰処分が下された亀田史郎氏、大毅、興毅
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11日のWBC世界フライ級タイトルマッチで亀田3兄弟の次兄・大毅(18)が悪質な反則を犯した問題で、日本ボクシングコミッション(JBC)の倫理委員会が15日、処分を発表した。父・史郎氏(42)はセコンド・ライセンスの無期限停止、大毅には1年間のボクサー・ライセンス停止の厳罰。長男・興毅(20)も厳重戒告となった。JBCは史郎氏の練習指導も認めないと断言。これに対し、史郎氏は大毅の処分は重すぎると反論した。
愚かな反則行為の代償は、前例のない厳罰だった。テレビの生中継まで入ったJBCの倫理委員会の会見。協栄ジムの金平桂一郎会長(41)のオーナーライセンスの3カ月停止の処分を発表した後、満場一致で決まったという亀田家の3人への処分は、想像を超える厳しいものだった。
史郎氏に対する処分理由は4点。スポーツマンシップを教育せず、ルール違反をさせるような言動をとったことに加え、試合開始直前に王者・内藤に詰め寄った行動を「どう喝、威嚇行為」と判断された。さらに、過去に2度、セコンドとして厳重注意を受けていることも踏まえ、ライセンスの無期限停止という厳罰が下された。
「無期限」は裏を返せばいつでも復帰可能と受け取れるが、JBCの安河内剛事務局長は「1年とかではありえず、刑罰の無期懲役と同じように考えてもらえばいい」と説明。過去に毒入りオレンジ事件で無期限停止処分を受けた協栄ジム・金平正紀前会長(故人)が7年後に復帰したことを例にとっても、かなり長期間になるのは確実だ。
大毅には「ライセンスの1年間停止」が科された。過去の例からすると、リング内での行為に対する罰則で最も重いのは6カ月間のライセンス停止。1年間以上の処分は刑事事件などを起こした場合に適用される。だが、JBCは注目を集めた世界戦での度重なる反則や試合前の言動を問題視。「世界のボクシングを冒とく、かつ日本のボクシングにダメージを与え、多くのファンの信頼を損ねた」と断罪した。
ボクシング界に身を置く者の生命といえるライセンス。単なる出場停止との違いは、繰り返したらはく奪するという重い警告が含まれている点だが、JBCの処分はそれだけではなかった。安河内事務局長は「すべてのボクシングに関する行為の停止と考えていい」と話し、史郎氏は「練習を含め一切、指導はできない」と断言した。
ライセンス停止は、実質的にはその期間中に試合に出られないだけ。試合場以外での指導は可能と思われたが、JBCはボクシングを教える権利もはく奪した。すでに今月末に行われる予定だった興毅の試合は中止。この日の処分で年末の「亀田祭り」も開催中止が決定的だ。そんな中、兄弟への指導すら認められなければ、史郎氏はボクシングと絶縁状態になる。
処分は15日付で執行となり、興毅と大毅は、東京・葛飾区の亀田家専用練習場ではなく、大久保の協栄ジムで練習を行い、ジムのトレーナーの指導を受けることになる。異色のボクシング一家として注目された亀田親子だが、その核心だったトレーナーと選手の関係を奪われることになった。
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