◇2億7000万円損賠求め提訴
徳島大学病院(徳島市蔵本町2)で一昨年、手術を受けた50代の女性が重度の後遺症を負った医療ミスで、女性の家族が17日、糖尿病の検査結果を見落とす過失があったとして、同大学に約2億7000万円の損害賠償の支払いを求め、徳島地裁に提訴した。
訴状などによると、女性は05年6月、同病院で股(こ)関節の手術を受け、約2週間後に肺血栓塞栓(そくせん)症を発症。呼吸や心肺が停止し、低酸素脳症や四肢麻痺(まひ)など重度の後遺症を負い、寝たきり状態になった。
家族は、手術前の血液検査の結果を受けて適切な処置をせず、術後も肺血栓塞栓症の兆候を見落とし、血を固まりにくくする坑凝固療法などの対策を怠ったなどとし、女性が働いていた場合に得られた収入(逸失利益)約8700万円や、将来の介護費用約5770万円など約2億7020万の支払いを求めている。
同大学の青野敏博学長、同病院の香川征病院長は「訴状を見ていないのでコメントは差し控えたい」としている。
同病院や日本血栓止血学会のガイドラインでは、高血糖や肥満などが手術で肺血栓塞栓症を併発するリスクを高めると規定。だが、同病院は血糖値を下げる処置をしないまま手術を実施。同病院は11日、「認識不足だった」などと謝罪する会見を開いている。【加藤明子】
毎日新聞 2007年10月18日