日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。


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この情報の最も新しい更新日は10月18日(木)です。

インド洋給油活動

海自、

 来月2日撤収

(読売 10月18日 朝刊)

[概要]政府はテト特措法に基づき、インド洋で給油活動をしている海自の艦船を、同法が期限切れとなる11月1日の翌2日から撤収する方針を決めた。現在給油活動をしている補給艦「ときわ」と護衛艦「きりさめ」は、10月27日に最後の給油を行い、約3週間かけて帰国する。

 政府は当初、撤収後も、早期に活動を再開する目的で、海自艦船を周辺海域にとどめ、他国の艦船と交流や演習などを検討していた。しかし17日に閣議決定した新テロ特措法成立のメドが立っていないことから、撤収と帰国はやむを得ないと判断した。

 政府が撤収方針を決めたことを受け、これまで燃料を提供してきた各国に対しては外交ルートを通じ説明する。このほか11月1日に官房長官談話を発表することも検討している。

[コメント]昨日、新テロ法案が閣議決定され、衆議院に提出された。しかしすでに勝負は決している。なぜなら11月10日に今の臨時国会は閉会するが、与党が会期の延長をしても、今国会で新テロ特法案が採決される可能性は低いからだ。いや、採決はないと断言しても差し支えないと思う。

 仮に衆議院で新法が可決されても、参議院で必ず否決される。そこで参議院から衆議院に戻って2/3の賛成で可決すれば、次は参議院で福田首相の問責決議案が可決される。それこそ政局が生まれ、衆議院解散が一気に現実的なものとなってくる。

 福田首相は参議院での問責決議案を何としても拒否するために、衆議院の2/3の賛成での可決権を行使しないと思う。その時の世論の動き(支持)にもよるが、最近も海自・輸送艦の日誌の一部が紛失していたり、新法でも米輸送艦への給油が認められたり、今までのイラク作戦転用疑惑を考えても、テロ特新法で衆議院を解散させれば、総選挙では与党が圧倒的に不利になる。

 まさに民主党の小沢氏が狙いのはこの点である。テロ特で衆議院を解散させ、総選挙で与野党の立場を逆転させる総選挙・戦術である。

 福田首相と与党はテロ特新法の今国会成立断念と、継続審議に持ち込んで再起をはかる作戦をとるだろう。本当は与党もテロ特新法で急場がしのげるとは考えてはいないと思う。そんな執念をまったく感じさせない法案だからだ。与党はすでに国会論争で負けることを覚悟して、とりあえずの新法では山の枯れ木を集めている。この新法では植樹(若木)のような若々しい息吹を感じないのだ。

 この民主党の勝因は何か。それは第一に小沢氏がインド洋での給油を「憲法違反」と断言したことで、野党は”錦の御旗”を掲げることができた。その隙(油断)を与党は与えてしまった。これこそが与党の驕(おご)りであった。第2の理由は、インド洋で行っていた給油がイラク戦に使われているという野党の追求に、与党は納得ある反論がまったくできなかったことである。

 それ以外にも、与党は給油中止要求への反論として「ローリスク、ハイリターン」論や、「シーレーン保護」論を展開したが、ほとんど国民の支持を広げることができなかった。むしろテロ特新法案や航海日誌破棄などで、逆に国民の疑惑を高めることになった。

 しかし最大の功績は「錦の御旗」論と考えている。それほど国民の平和憲法に対する支持が強いのである。

 これからは衆議院解散を狙う野党と、その解散をなんとしても回避したい与党の論戦が始まる。昨日、閣議決定された新テロ法案では与党が国会の論戦に勝てる見込みはない。

 本日の更新休止です

 (10月17日 水曜日)

 今日はこれから東京ビッグサイトの「危機管理産業展」を見に行きます。本日は11時30分より1時間だけ、自衛隊のパトリオットPAC2が展示されるそうです。19日まで開催されています。

 そのため本日の更新を休止します。すいません。

 本日の「メールにお返事」コーナーに、「自衛隊のアフガン派遣に反対」というメールが届いています。そのお返事を掲載しておきました。興味のある方はお読みください。

※危機管理展で会場で展示されているのはPAC3ではなく、武山駐屯地(横須賀)配備のパトリオットPAC2でした。私の勘違いでした。すいません。謝罪して訂正します。

テロ新法・対案

民主党法案

 今国会に提出

自衛隊派遣の有無が焦点

(毎日 10月16日 朝刊)

[概要]民主党は15日、新テロ対策特別措置法の対案について、党の対案を今国会で参院に提出する方針を決めた。小沢代表、鳩山幹事長、興石参院議員会長が党本部で会談し、週内にも基本方針をまとめることに合意した。

 小沢一郎代表が参加を打ち出したアフガンのISAF(国際治安支援部隊)と連携した民生支援が盛り込まれるが、党内でも自衛隊のISAF派遣には異論がある。対案では自衛隊派遣の有無が党内議論の焦点となる。

 この会談に先立ち、小沢氏は党本部で高木剛連合会長と会ってISAF参加論をただされ、「戦闘に参加すると受け止められているが、わが国がそこまで期待されていることはないだろう。民生で協力できる」と説明した。小沢氏にはISAFと連携して民生支援を行う地方復興チーム(PRT)を念頭に考えていると思われるが、PRTは民間人の安全確保をする軍隊が必要で、自衛隊の治安維持活動という点では本体参加と変わらない。

 一方、「次の内閣」で防衛を担当する浅尾慶一郎氏は、14日のテレビ番組で、「自衛隊が行かなくてもISAFでできることはある」と述べ、民間のみの貢献を示唆したが、この場合は、もし治安が悪化した状況下での支援は限定的なものになり、異論も出そうだ。鳩山幹事長は15日の講演で、「(自衛隊のアフガン派遣を) 絶対にだめという話しではないが、党内でも異論がある。まだ決めていない」と述べた。

[コメント]やっと日本の政党や国会でも、まともな安全保障の議論が始まったように感じる。小泉元首相のように「自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」という暴論と比べると、これからの議論の過程で進歩が期待できるのではないか。小沢氏がインド洋の給油活動を「憲法違反」と断罪したから日本に新しい境地が開けた。

 そこで民主党の対案だが、今のアフガン状況で自衛隊派遣を除外して、日本のISAF派遣もPRT活動も考えられない。今はアフガンの治安が極度に悪化し、民間団体(NGOなど)だけでは復興支援活動ができないのが現状である。彼らを誰かが安全に警護しなければ、アフガンでの復興支援の活動を中断して引き上げるしかないのである。自衛隊のアフガン派遣を諦(あきら)めてアフガンで困窮している人を見捨てることはできない。

 自衛隊がアフガンに行くのは、PRT(地方復興チーム)のためで、民間援助団体の活動を安全に行えるように警護することである。タリバンやアルカイダと戦闘をすることではない。自衛隊の武器使用も、PRTが襲撃されたような場合は、従来の正当防衛で反撃することは可能である。あくまでアフガンに戦争が目的で行くわけではない。アフガンの復興を支援するために自衛隊を派遣するのである。主役は民間団体の復興支援活動である。

 これほど自衛隊員にとって名誉な任務はない。偽善的な平和主義で日本は世界で名誉ある地位を占めることはできない。このPRT派遣という現実的・平和論で日本の国民や自衛隊員を必ず説得できる。

 民主党は臆することなく、堂々としたアフガン復興支援支援の対案を作って欲しい。くどいようだが自衛隊の参加がなければ民間だけのアフガン復興支援はあり得ないのだ。イラクで殺された日本大使館の奥参事官、井ノ上事務官のことを忘れないでほしい。もしあの襲撃された大使館の車(トヨタ・ランクル)の前後を、自衛隊車両が警護していれば、武装勢力の襲撃を防ぐことができた。

 今の日本国憲法であってもPRTのためなら、日本は自衛隊をアフガンに堂々と出せる。自衛隊員に誇りを持って堂々とアフガンに行けと言える。アメリカのための戦争ではなく、日本の平和主義のための復興支援であるから。私も民間のNGOとしてPRTに参加したいと思う。もし可能なら喜んでアフガンに行きたい。たとえテロリストに殺されても文句はない。アフガンからテロを封じるために日本流の復興支援なのである。

 自民・公明両党のテロ特新法では、期限を1年とすることにしたという。この1年間とは何を意味するのか。あと1年すれば米大統領選挙でブッシュ政権が終わり、新しい政権が生まれることを想定しているからである。あくまでブッシュ政権が始めた戦争に付き合うしかないのが与党案である。アフガンの平和追求や復興支援とは無関係な法案である。

 もし民主党が自衛隊のアフガン派遣を打ち出せないなら、あるいは党内の平和勢力や他の野党の平和勢力を説得できないなら、責任ある政権与党など望まないことである。これは日本がアジアの経済大国から平和大国に飛躍できるチャンスと思う。

イラク駐留米軍元司令官

「イラク戦争は終わ

りが見えない悪夢」

ブッシュ政権批判

(産経 10月14日 朝刊)

   本日は新聞休刊日のため、昨日(14日)の朝刊を引用します。

[概要]イラク駐留米軍の元司令官を務めたサンチェス元陸軍中将は12日、バージニア州で講演し、イラク情勢について「終わりが見えない悪夢」と述べ、現状に悲観的な見方を示し、ブッシュ政権のイラク政策を強く批判した。

 元司令官は、「非現実的で楽観的な戦争計画から最近の増派計画まで、この政権は政治、経済、軍事的な力を合わせることに失敗した」と指摘。「軍人だったら、『無能』『職務怠慢』で軍法会議に掛けられていただろう」とこき下ろした。

 サンチェス元司令官は03年6月に就任して、米国のイラク戦争は多くの困難に直面していると気がついた。しかし異論を唱えたり辞任すれば、兵士をより危険にさらすことにと考え、具体的な行動をとらなかったという。元司令官は「退役したら、国のために自らの意見を言う責務がある」と語った。

[コメント]こんないい加減な司令官をイラク駐留軍司令官に選任したことこそ、ブッシュ政権の許し難い怠慢である。この司令官に命じられて、イラクで作戦中に戦死(負傷)した兵士や家族はどのように思うだろうか。「自分の辞任で、より兵士を危険にさらすことになる」とは自分に都合のいい言い訳でしかない。自分こそ司令官として”適切な判断と行動”をとらなかったことで”軍法会議”にかけられるべきであった。軍隊で司令官が間違っていると思うことを命じることは最悪の愚行と思わないのか。

 負け戦(いくさ)になると、このようなことを言い出す元司令官は多い。自分を恥じるべき存在だと考えられないのである。自分を兵士の側において考えることができないのだ。自分の失敗は政治の失敗であって、今の失敗は自分が原因ではないと考える典型的なタイプだ。

 司令官は兵士に作戦を命じると同時に、戦略の問題点を政治家に説明して、政治的に戦略を正すことが司令官の務めである。一般の兵士と司令官は役割が違うのである。

 最近、米軍では兵士(少尉、中尉を含む)がイラクに駐留延長を希望すれば、2万ドル〜2,5万ドルの特別ボーナスを出すことにしている。またイラクのPMC(民間軍事会社)に一人平均1200ドル(14万円)/1日が支払われている。これほどお金まみれの戦争はベトナム戦争時代にもなかった。

 もはやイラク戦争の継続はアメリカとイラク双方に多大の被害を生むだけである。一刻も早くブッシュ大統領の政権が終わることを祈り、イラク戦争を終わらせることを主張する次の政権の誕生を待つしかないのか。

 日本も同じことである。政治家が「インド洋での給油はローリスクで、ハイリターン」と言い出した。もし自衛官が同じことを言えば軽蔑される。自衛隊員の使命はハイリスクで、ノーリターンであっても、国家や国民のために命をかけて任務を果たすことが求められる。政治家が語る次の言葉は、「自衛隊員に臨時ボーナスを出すから、アフガンに行ってくれ」というだろう。またアフガンで自衛隊を守るために、欧米系のPMCに大金を支払って、自衛隊員の戦死者数を少なくすることを考えるはずだ。

 世界からテロを無くすことは、テロ戦争で互いに相手を殺し続けることではないと思う。井戸を掘って、畑を増やし、家畜を飼って、家族を養う、互いに他人を尊敬できる社会を作ることこそ大事と思う。テロを無くすのは銃弾や爆撃ではない。 

新テロ対策特措法

対補給艦給油禁止

新法に盛り込まず

与党チーム合意

(読売 10月13日 土曜日)

[概要]自民・公明両党は12日、国会内で与党テロ対策特措法プロジェクトチーム(座長・山崎拓自民党前副総裁)の会合を開き、インド洋で海自の給油活動を継続する新テロ対策特措法案に、他国の輸送艦への給油を禁止する条項は盛り込まない方針を決めた。

 給油活動をめぐっては、民主党が米補給艦に給油した燃料が、目的外のイラク作戦に転用されたとの「疑惑」を追求しており、与党内では新法で他国の補給艦への給油を禁止する案が浮上していた。しかし禁止規定を盛り込めば、他国の活動を縛る恐れがあると判断した。

 与党は燃料の目的外転用を防ぐために、@福田首相らが国会で転用を認めない旨の答弁を行う。A給油活動の基本計画に転用防止策を明記する。  といった対応を今後検討するという。

 政府与党は16日に再びプロジェクトチームの会合を開き、与党合意に至らなかった新法の期限や国会報告を行う時期について協議する予定だ。

[コメント]先日、ある新聞社の記者が訪ねてきて、「与党は新法(テロ特)ではアメリカの輸送艦に海自の輸送艦から給油を行わないと言っていますが、そんなことが軍事的に可能なのですが?」と質問された。「そんなことができるわけがない。日本から貰った油をイラクに使わずアフガンだけに使ってくれなって言われたら、アメリカはそんな面倒な燃料はいらないと断ってくる」と答えた。日本の政治家は日米の価値観の違いというか、戦争(軍事)に対する認識がまったく違うことがわかっていない。アメリカにとってアフガン戦争とイラク戦争は一体化しているのはあたりまえだ。

 新法では首相らが国会でアフガン作戦しか使わないと答弁するとか、基本計画にアフガン作戦以外は使わないと書くのは、今までのテト特措法で行われていたことである。そんな政府の”ウソ”や”誤魔化し”や”隠し”が通用しなくなったから、与党は新法で対応するしかなくなった。それに懲りず、また同じことをやろうとしている。これでは山崎拓座長が今国会でテロ特新法の成立を”諦めた”と推測されても言い訳できない。やはり衆議院解散がいよいよ現実化しそうに思えてくる。

 思えば、小池前防衛相が7月に訪米して、ランラン気分で米政府の首脳たちに「テロ特の延長」を約束してきた。安倍首相も9月にオーストラリアでの日米首脳会談で、ブッシュ大統領に「テロ特の延長努力」を力強く約束してきた。それでも11月1日に派遣期限が来るテロ特で海自・艦船のインド洋撤収が確実である。さらにテロ特に代わる新法も、今国会で成立が無理(継続審議)になれば、福田首相は衆議院を解散する以外に政治的な方法が残っているだろうか。(若いボクサーが試合に負ければ「腹を切る」と同じ次元では困る)

 ところで民主党・代表の小沢氏が、「ISAFに自衛隊を派遣する」と書いた月刊「世界」誌のことが話題になっている。小沢氏は同誌で「国連決議があれば自衛隊の武力行使も憲法違反にならない」とまで言い切った。これに対して自民党は、「戦争状態のアフガンに自衛隊を派遣できない」、「たとえISAFであっても自衛隊の武力行使は憲法違反だ」と応戦するしかない状態である。これはケンカ上手の小沢流ケンカの売り方である。小沢氏は現状ではアフガンに自衛隊の戦闘部隊を送ることはできないとわかっている。わかっていてわざと自民党を挑発し、自分の土俵に引き込んだのである。結果、民主党へのインド洋撤収は(国際的な)無責任論は収まり、日本のオイルレーン(石油タンカー・ライン)を守る論に切り替わった。インド洋の給油活動をアフガンのISAF派遣に比較させたことで、”毒は毒をもって制する”の言葉通りになった。シーレーン保護というのは昔から急場をしのぐ使い古した方便で、いつのまにか消える空論であることを小沢氏は知っている。

 なぜ小沢氏はオオボラを吹いたのか。それは民主党がだらしないからである。民主党はテト特の独自案ができないほど外交(とりわけ軍事)能力がない。そこで与党の自民・公明両党が新法を出せば、対案を出せない民主党の”無能ぶり”と”烏合の衆ぶり”が際立つことになる。そこで小沢氏は与党を挑発して自分の土俵に引き込み、オオボラでテロ特の新法を潰してみせた。これは政治手法というよりもケンカの作法である。まあ政治家たるもの、これくらいのケンカ作法は芸の内である。

 しかし政治はケンカがすべてではない。最後は政策がものをいう世界である。やがて民主党は今のテト特や与党の新法にかわる対案を作らなくてはいけない。そのような動きが民主党内からまったく見えてこないところに小沢氏の不幸がある。もし民主党がテト特や与党・新法案の対案を作れないなら、次は与党に負けることになるからだ。しかし考えてみれば、これは低次元の論争である。インド洋の海自の輸送艦が米海軍の輸送艦に給油し、それから米艦船(戦闘艦)に給油して、イラク戦争に使われたことはだれでもわかる。今国会は詭弁と茶番という言葉しか考えられない。

 本日のおまけーーー自民党はアフガンのISAFに自衛隊を派遣することは憲法違反というが、今年5月4日にブリュッセルのNATO本部を訪問した久間防衛相(当時)は、デホープスヘッフェル事務総長と会談してアフガニスタンで活動しているNGO(非政府組織)などに、自衛隊を派遣して資材輸送などの貢献を行うと伝えている。ーーーーこの事実、知っていましたか。これってISAFが行っているPRT(地方復興チーム)ですよね。

 安倍首相(当時)も今年1月に、日本の首相として初めてNATO本部を訪れ、NATO理事会で演説して、・・・・・・・・・・・・・・・・。(もう辞めた人のことはどうでもいいか)

金正日総書記の発言

「核兵器、

  持つ意志ない」

盧武鉉大統領明かす

(朝日 10月12日 朝刊)

[概要]韓国の盧武鉉大統領は11日、韓国記者団との懇談会を開き、金正日総書記が南北首脳会談で、「核兵器を(ずっと)持っている意志はない。(朝鮮半島の非核化は、故金日成主席の)遺訓だ」と語ったことを明らかにした。

 盧大統領によると金総書記は6者協議について「必ず成功させる。誠実に取り組んでいる。米国の態度も肯定的に評価している。今回も米国は誠意を見せたようだ」と述べたという。盧大統領が「非核化すれば朝鮮戦争を終結できる」とブッシュ大統領の考えを伝えると、「終戦宣言には私も関心がある。一度進めてみよう」と語ったという。

 今回の南北首脳会談で金正日は盧大統領から日朝関係改善の進展を問われると、自ら拉致問題に言及し、「生存する拉致被害者は全員帰した。この問題は解決済みだ」と語ったという。それもこの首脳会談(3日)には、議題別に30〜40枚の発言用カード(カンニング・ペーパー)を持参し、盧大統領の発言ごとにカードで確認し、メモをとっている。00年の金大中大統領との首脳会談ではカンニング・ペーパーはなかった。

[コメント]カンニング・ペーパーは何を意味するか。すでに韓国紙が報じていることだが、最近の金正日に軽い認知症の症状が出て、金正日の決済が必要なものは側近たちが行っているという。この認知症のためのカンニングペーパーだと思う。

 その軽い認知症もいわゆる「まだらボケ」で、症状が出ていなければ正常な人と違わない。しかし症状が出れば、親(あるいは配偶者)、兄弟(あるいは子ども)の顔もわからなくなる。しかし軽ければその翌日はまったく普通の様に何ら症状がでてこないのだ。普段(普通の時)はその人と会話をしても全く異常を感じさせない。毎週、一人でタクシーに乗って日本橋のデパートに行き、何不自由なく一人で買い物をして、レストランで好きな食事をして、一人でタクシーに乗って帰ってこられる。行きつけの渋谷の美容院にも、自分から電話で予約をして、自分で停めたタクシーで往復できる。しかし時々は正常な判断ができない認知症なのである。

 しかし認知症の症状が出ていない時でも、軽い誤認や判断の間違い程度は多々ある。例えば、テレビの天気予報で、「北海道は今夜は雪になるでしょう」と解説すると、「東京は今夜は雪になる」と反応している。「違う。東京ではなく、北海道の天気だよ」と教えると、「そう、北海道なの」と正常に反応して訂正するが、同じような誤認を一日に何度もする。だから金正日は軽い認知症の「まだらボケ」の症状が出ているように感じる。

 金正日は5月にドイツ人医師団から、心臓バイパス手術を受けたことは誰でも知っているのに、首脳会談の送別昼食会(4日)で、「私がまるで糖尿、心臓病かのような報道をしているが、事実は全くそうでない。我々の心臓病研究が少し弱いため、人を呼んで研究を委託、補完したのに、(総書記が心臓手術を受けたという)間違った報道がある」と話すなど、異例の発言を行っている。この時はカンニング・ペーパーは持っていなかったもしれないが、いかにもカンニング・ぺーパーに書かれているメモのようなセリフである。意図的にウソを言っている。

 金正日は核実験を北朝鮮軍の核武装のために行っていないことはすでに何度も書いた。あくまで核兵器開発の”中止”をアメリカに高く売るために行っていたのだ。だから不確実な核実験でもアメリカに売れるし、弾道ミサイルの弾頭に搭載できる小型化実験を行う必要はない。

 もうアメリカや韓国はそのことを十分知っていて”騙されたフリ”をしているだけである。なぜなら北朝鮮の非武装地帯に沿って地下陣地に配備されている、生物・化学兵器を詰めた長距離砲、単距離弾道ミサイル、地対地ロケット砲の暴走が怖いからである。金正日の認知症が進行して判断ができなるのを恐れているのである。独裁者の絶対権力が喪失した混乱を恐れているのだ。そのためにアメリカと韓国は臨戦状態のままの北朝鮮との戦争(休戦)状態を一刻もはやく解消して、できるだけ早く大量破壊兵器を排除したいからである。しかし北朝鮮はそれでまた援助を引き出そうとするだろう。だから北朝鮮の核の無力化の次は平和条約の締結が交渉の課題になる。中国やロシアは対岸の火事として見物をしている。

 間もなく北朝鮮大混乱! その日に備えるために、日本はインド洋でガソリン・スタンドをしているヒマはない。今は北朝鮮の混乱に備えることが日本の安全保障の緊急課題になっている。

インドネシア紙報道

将官と兵士

 400人拘束

デモ制圧命令拒否で

(読売 10月11日 朝刊)

[概要]インドネシアの英字紙ジャカルタ・ポストは10日、ミャンマーで起きた僧侶らの反政府抗議行動で、同国軍の将官5名と、兵士約400人が武力制圧の命令に背いたため、軍事政権に拘束された、と報じた。将官5人は僧侶デモに対する部隊の展開を拒否。ミャンマー第2の都市のマンダレーに配備された兵士約400人は、僧侶たちのめの前で銃器を置き、許しを請うたという。

 ミャンマーでは僧侶に銃を向けた軍政に憤っているが、弾圧を恐れて表立った批判はできない。代わりに、多くの公務員や労働者が職場に行かず、就労を拒否することで抗議の意志を示しているという。

[コメント]この記事で将官5人というのは異常な人数で、ジェネラル(将軍)とオフィサー(将校)を間違えたのではないだろうか。通常の将官というのは将軍(准将、少将、中将、大将)のことで、オフィサーであれば将校で下級指揮官の少尉、中尉なども含まれる。よく記者が間違えることがある。

 また公務員や労働者が就労を拒否しているなら、それはゼネストなので街頭デモ以上に厳しい抗議行動という見方もできる。

 しかし軍政側も危機感は持っていると思う。兵士に敬虔な仏教徒は多いし、親族で僧侶になっているものも少なくないからだ。軍政は一時的にデモを武力で強引に弾圧できても、市民の反発は解消されるどころか、ますます不満が膨張し圧力が高まっていく。そこに軍部の一部が市民に合流すれば、軍政はあっけなく崩壊する。どうしてこんなにも簡単に崩壊するのかと思うほど、国民に強く反発された軍政は滅びる。

 だからミャンマーの軍政は国民の怒り(内圧)が高まるこれからが正念場を迎えることになる。ミャンマー軍政が北朝鮮のような独裁的なカリスマ国家を築いているわけではない。

 ※この件に関する情報が、本日の「メールにお返事」に届いています。参照してください。 

テロ特措法 空母給油

米「給油転用ない」

日本側、裏付け要求

給油の用途、明記せず

交換文書

  転用否定の根拠不十分

(朝日 10月10日 朝刊)

[概要]テロ特措法に基づき、インド洋で補給活動を続ける海自の補給艦が、03年2月に米空母キティーホークに間接的に給油していた問題で、米政府は5日、日本政府に対して「イラク作戦への転用はない」と回答していた。米側の回答は「キティホークが補給を受けた80万ガロンはアフガンでの『不朽の自由作戦』(OEF)に使われた」(政府関係者)というもの。しかし補給を受けた同空母が、給油後にどのように活動したのか具体的に明らかにされていないという。

 防衛省ではこの説明は不十分と判断し、「給油後にどのような軍事作戦に携わっていたか、具体的に示してもらう必要がある」(防衛省幹部)として、改めて追加資料の提供を米側に求めている。同省はキティホーク以外の給油艦船についてもデータを照会している。

 防衛省は9日、インド洋における海自による国別の補給艦への給油実績を発表した。それによると、01年度以降の間接補給は合計26万7千キロリットル(105回分)で、そのうち米補給艦には全体の89パーセントを占める23万7千キロリットルを給油したことがわかった。補給艦への給油実績があるのは、米、英、仏、オランダ、イタリアの5カ国。特に米英がイラク攻撃に踏みきった02年度には16万8500キロリットルと突出し、そのうち米補給艦への給油が13万8千キロリットルと8割強を占めていたことを明らかにした。

 日本政府は海自が行うインド洋の給油活動で、イラク作戦に転用疑惑を否定する切り札として言及するのは「交換公文」の存在だ。しかし交換公文には「特措法に従って(燃料)を提供」の言葉はあるが、給油先が対テロ戦争以外に使用しないことを明文化した記述はない。イラク戦争への転用を否定する根拠としては不十分で、政府も説明に苦慮している。

 01年11月に日米で交わした交換公文で、燃料が提供される条件には、@(燃料などの)使用は国連憲章と両立 A日本政府の同意なしに米軍以外には移転しない B(燃料などの)受領権限を持つ米軍関係者は日本政府職員から@とAの条件を通知される。 などと書かれているだけ。

 与党が国会に提出を予定しているテロ特措法に代わる新法では、新たな交換公文が必要になるが、「転用」をしないための仕組みをどう盛り込むかの議論にもつながる。

[コメント]もうこれ以上、日本政府がイラク戦争への転用を否定することは、日本国の恥である。アメリカはアフガン戦争とイラク戦争を日本ほど厳密に区分していない。そのようなアメリカ軍の事情を知りながら、インド洋で燃料を給油しておいて、イラク戦争に使ったのはアメリカ側の責任と言い訳しているようなものだ。これは恥ずかしく見苦しい行為なのである。外務省(在米大使)もアメリカにウソを言ってくれと頼まないで欲しい。日本は国連で恥をかき、その上、アメリカ政府からも軽蔑されることになる。

 だから現行のテロ特措法の延長ではなく、今国会に提出する新法で対処するしか方法がなかったのである。ここで顔が浮かんでくるのは、9月に退任した守屋前防衛事務次官である。彼が次官を異例中の異例で5年間も在職していたのは、このようなデタラメが露出するのを防ぐためではなかったか。あくまで給油活動は軍事秘密と言い張り、情報開示をさせないための5年間ではないのか。これを良しとした与党や防衛長官(大臣)も同罪である。この件でこれ以上、日米関係の悪化を招かないために、守屋前次官の証人尋問を行うぐらの追求が必要になるのでは。アメリカ側を悪とする「交換公文」説明では済まなくなる。

 小泉元総理、飯島元首相秘書官がこの件をどこまで知っていたか、また、知っていて了解していたのか聞きたい。

 今回のように国防政策、国の安全保障政策は、国民に知らせず、国民を騙し、隠れて行うことが最良の策というような体質は改めていただきたい。もうこれ以上の詭弁は国会で聞きたくない。

パキスタン

大統領警護の

  ヘリが墜落

過去3回の暗殺計画

(産経 10月9日 朝刊)

[概要]パキスタン北東部アザド・カシミール特別州で、ムシャラフ大統領が乗ったヘリを警備していた別のヘリが墜落し、4人が死亡、8人が負傷した。大統領は無事だった。大統領は約8万人が死亡した地震発生から丸2年になるのを機に被災地に向かっていた。

 軍報道官は「技術的欠陥」が原因として、イスラム過激派の攻撃ではないと述べた。大統領は少なくとも今までに3回の暗殺計画から逃れたとされ、ヘリで移動する時はいつも囮(おとり)のヘリを飛ばしていた。

[コメント]パキスタンの大統領選挙(10月6日実施)では野党のボイコットを受けたが、ムジャラフ氏は大量得票で再選を果たした。しかしムジャラフ氏は大統領選に立候補する資格(軍人のため)があるのか最高裁判所で審議中で、まだ当選確定の結果公表は禁止されている。さらに来年の総選挙ではムジャラフ氏率いる与党の劣勢が報じられている。そのため最大野党のパキスタン人民党の元党首でロンドンに亡命中のブット元首相との連携を模索しているという。

 パキスタンに拠点(事務所)を置いてアフガンで復興支援を行う国際的なNGOなどにも、NGO職員の長期ビザから短期ビザに切り替えるなどして、パキスタン政府はアフガンに拠点を移すように迫っているという。パキスタンの国民にはNGOであっても、アフガンで活動することはアメリカを支持する行為と思うからである。とにかくパキスタン国民はアメリカが嫌いなようである。

 テロ特措法で海自の補給艦がパキスタン海軍の艦船に給油や給水を行うのも、アメリカ軍の補給艦からパキスタン海軍が給油を受ければ、パキスタンの反米感情を刺激してムジャラフ氏への反発が高まるからという。

 一段と苦境が報じられることが多くなったムジャラフ大統領だが、暗殺計画にも常に脅かされてる。仮にムジャラフ氏が暗殺されれば、パキスタンの政情が一気に流動化し、アフガンとインド洋を結ぶ補給路に影響が出ることは避けられない。さらにパキスタンはイスラム国家では唯一の核武装国家である。この点でも暗殺計画は大いに気になる出来事である。このようにパキスタンでは反米の気運が確実に高まっている。ついムジャラフ大統領の暗殺という情報に過敏に反応してしまう。

アフガン「地上軍参加」

「対案なき」原則論

小沢氏提案波紋

(毎日 10月8日 朝刊)

[概要]民主党代表の小沢氏は、「安全な活動」とされているインド洋の給油活動に反対しながら、憲法が禁じる海外での武力行使につながりかねないアフガンの地上部隊(ISAF)に自衛隊を参加させるべきと言い出した。

 小沢氏が給油に反対する理由は、「前提となる国連決議がない」という原則論。これに対してISAFは国連決議がある。国連至上主義の小沢氏は、国連決議があれば地上軍参加は「武力行使を含んでも憲法に抵触しない」という理屈だ。

 この急進的な小沢論法に旧社会党系の横路衆院副議長は、アフガンで民生支援にあたるNGO「ペシャワール会」の中村哲・現地代表を小沢氏に紹介した。小沢氏は8月20日に中村氏と会った。中村氏は「軍隊を派遣してお金を使うより民生支援だ」と強調した。以後、小沢氏も「テロとの戦いは民生支援こそ必要」と繰り返し、いったん民生支援重視に傾いた。

 ところが政府・与党が今月2日、思いの外早く「新法」骨子案をまとめ野党に示す動きを見せると、小沢氏は一転、原則論に戻り、5日付党機関紙で再び地上軍参加を持ち出した。小沢氏は自民党が民主党も巻き込んで新法づくりを目指す柔軟路線に対して、対案も出さず話し合いを拒み続ければ世論の支持を失うとして、9日発売の月刊「世界」誌で「代案がない反対は責任放棄」という批判に反論して主張を展開している。小沢氏の本音は対案提案ではなく、与党の「話し合い路線」を拒否することとみられ、政局的な発展に尽きている。

 一方、党内的には「政権を取ったら」という前提付けで、今すぐにできない政策という前提付きがミソ。党幹部には現実的な対案でなければ国会論戦で窮地に追いこまれる危険があると考えるものがいる。そこで党幹部が模索するのが、地方復興チーム(PRT)への関与だ。しかし現実論に近づけば安全保障でまとまりを欠く党内が混乱する危険性を高める。今回は対案作成は見送り、小沢氏の原則論だけで国会を乗り切らざるを得なくなる可能性がある。

[コメント]小沢氏のISAF派遣論で、インド洋から海自・補給艦が撤退することへの国際世論・無責任論は沈静化した。小沢氏がインド洋よりもさらに危険で、対テロ戦争に直面するISAFに自衛隊を派遣することが合憲と主張したからだ。自民党がテロ特措法の延長に反対を表明した民主党に向かって、「逃げるか、卑怯者!」と非難していることが逆転した。

 しかし自衛隊のISAF派遣で民主党がまとまるとは思えない。そこで月刊「世界」誌には「政権を取ったら」という言葉が付け加えられていた。それに小沢氏がいうところの「国連決議で採決されたものに、自衛隊を派遣し、武力行為が行われても憲法違反にならない」という論も無理がある。

 しかしアフガン戦争はアメリカが個別自衛権で始めた戦争で、そのアメリカの戦争に自衛隊を派遣したことは集団的自衛権を禁じた憲法に違反することは間違いない。すなわち憲法違反である。アメリカはアフガン戦争で国連の干渉と制限を嫌ったからだ。またNATOがアフガンに部隊を派遣したのは、NATO憲章で集団的自衛権を認めており、その集団的自衛権の初行使でアフガンに部隊を派遣した。そこのとを国連安保理決議1386号(01年12月)で採択している。国連がテロ非難決議を行った安保理決議1368号(01年9月12日)でISAFを派遣したわけではない。ISAFはNATOが集団的自衛権に基づいて派遣したことを忘れないでおこう。

 また当時の日本政府は戦闘が予測されるインド洋に補給艦を出すので、その護衛のために戦闘できる護衛艦を一緒に派遣した。当時の政府見解では、海自の補給艦から給油中の味方艦船(例えば米艦)が攻撃を受けた場合、海自の護衛艦は個別自衛権の自然権で攻撃できるとしたのである。ここで集団的自衛権が論じられることはなかった。

 そのような経緯を考えると、今回の小沢氏のISAF派遣・合憲論はテロ特措法延長反対の今国会論争で、自民党の「逃げるか、卑怯者!」を封じるためのもので、具体的かつ現実的な話しとなると、菅直人流の「いろいろなやり方が考えられる」で切り抜ける考えと思う。民主党はまだまだISAF派遣の議論に持ちこたえられない。要は民主党にテロ特措法の”代案”を作る能力がまだないということである。まあ自民党も似たようなものである。

 これは軍事論ではなく、日本では政治論だといういう意味である。しかし日本は政治論であっても軍事論を無視してインド洋やサマワの戦場に自衛隊を派遣し、今も空自はイラクの空で対空ミサイルの脅威のもとで活動している。だから民主党がアフガンのPRT活動に自衛隊を派遣する可能性はまだ残っている。 

7月のシリア軍事施設爆発

北朝鮮の技術者

   3人死亡

産経 ワシントン支局

(産経 10月6日 朝刊)

[概要]中東情勢に詳しい情報筋が4日、今年7月下旬にシリア北部のアレッポ郊外でおきた軍事施設の爆発で、北朝鮮のミサイル専門家が3人が死亡してことを明かした。シリア国営通信は、「非常に爆発性の高いものが爆発し、シリア軍関係者15人が死亡し、50人が負傷した」と報じていた。

 この爆発は短距離弾道ミサイル「スカッドC](射程500キロ)の燃焼実験中に起きたもので、北の3人は弾頭をミサイル本体に取り付ける作業の指導、監督にあたっていた。9月26日付の英軍事専門誌ジェーンズ・デフェンス・ウィークリーは、シリア国防筋の話しとして、爆発はびらん性のマスタードガスを搭載した「スカッドC」の燃焼実験中に起き、マスタードガスや神経ガスのVXやサリンなどの化学物質が施設内に拡散したと報じた。

 米政府はシリアと北朝鮮が軍事協力を強化し、シリアに北の大量破壊兵器の技術がいるとして警戒を強めている。北朝鮮はシリアにスカッドミサイルを輸出して、ミサイル技術者の交換プログラムを行っているとみている。

[コメント]これは9月6日に、イスラエル軍機が秘密作戦でシリア領土を空爆したものとは違う爆発事故である。もし英紙のジェーン・デフェンス・ウィークリー誌の記事が事実なら、シリアはイスラエルのほぼ全域を攻撃できる弾道ミサイルと化学兵器(弾頭に搭載)を保有したことになる。それも北朝鮮が弾道ミサイル(スカッドC)をシリアに輸出し、運用を全面的に指導・監督したことは間違いない。

 しかしシリア国防筋のものが、アレッポの爆発事故を化学兵器と結びつける偽情報を流した可能性がある。弾道ミサイル「スカッドC」をシリアが配備していることは確認されているが、化学弾頭を配備しているか確認されていない。イスラエルの情報機関がこの真偽を追っていると思うが、すでに北朝鮮の化学兵器がシリアに運ばれたなら厄介である。その点ではイランの核開発よりも深刻な事態が予測される。シリアの隣にイラクの米軍14万人がいるからである。もしシリアがアメリカやイスラエルを脅したいなら、十分に活用できる道具(カード)となる。

 もし真実なら、アメリカが北朝鮮をテロ支援国指定解除するなどあり得ない。私がこの情報を信じるかは五分五分である。無条件では信じられないような気がする。非常に気になるが、”本当だろうか”と疑う気持ちもある。シリアがそこまで挑発的になるだろうか。イラクのフセイン大統領でさえアメリカやイスラエルに化学兵器を向けなかった。強い敵には報復を恐れて大量破壊兵器は使わないという原則がある。使うのは報復手段を持たない弱い敵に使われる。(しかしテロ集団にはこの原則は使えない)

 イスラエルはこのシリアの爆発事故で、周辺の空気を採取して分析しているはずだ。化学兵器の存在を示す確証が得られれば、かなり大きな軍事(秘密)作戦を行うはずである。まだ、それを聞いたことがない。

南北首脳宣言(07年10月)

核廃棄踏み込まず

思惑通り 北朝鮮

山盛り 経済支援策

「独裁国家と距離必要」

ソウル支局長 中島哲夫 著

(毎日 10月5日 朝刊)

[概要]朝鮮半島が分断されて以降、第2回目の南北首脳会談が平壌で行われ、4日の午後に首脳宣言が署名された。7年前(00年6月)の共同宣言と比較して約4倍の分量があるが、金正日総書記が北朝鮮の核廃棄に向けた意志表明はなく、韓国の支援や譲歩ばかりが目立つ内容だった。北朝鮮主導色の強い結果に、国際社会から高い評価を受けることは難しそうだ。

 朝鮮戦争の「休戦」にピリオドを打ち、恒久的な平和体制を築くという合意はほんのわずか。「直接関係する3者または4者の首脳が朝鮮半島地域で会い、終戦を宣言するために協力する」という、曖昧な表現でしかない。もし3者なら北朝鮮、中国、アメリカの3国で、韓国は排除すことも想定される。もともと北朝鮮は韓国排除の3者協議を主張してきた。

 北朝鮮は南(韓国)との間で核問題を論議しないとの立場だった。今回の首脳宣言でも北朝鮮が核廃棄(朝鮮半島非核宣言)に関する記述はなかった。また前回の「適切な時期に金正日総書記がソウルを訪問する」ということも言及されていない。次回の第3回・南北首脳会談も平壌で開催されるという外交儀礼的には異常な首脳交流になりかねない。今回の会談が北朝鮮主導ペースで進んだことを示している。

 北朝鮮の履行義務がほとんどない今回の首脳宣言で、韓国は経済支援協力が詳細かつ豊富に盛り込まれている。これは進んだ韓国が遅れた北朝鮮を追いつかせるという意味が込められている。北朝鮮にとっては大きな利益を得た首脳会談となった。

 <韓国の飲盧武鉉大統領の気持ちは、今、北朝鮮が崩壊すれば韓国の負担が重すぎる。北朝鮮との軍事的な緊張を回避しつつ、北朝鮮経済を立て直してから統一を目指したいと願っている。そのことは理解できる。しかし国の最高指導者が自己利益を追求して国益を損なっているような特異な国を相手にする時は、極めて慎重な判断が必要である。<(中島ソウル支局長 コラム)

[コメント]北朝鮮が核兵器を開発したのは自己防衛(北進抑止)のためではない。北朝鮮の核兵器・破棄のカード(核の無力化)で他国から援助を勝ち取ることである。だから中距離弾道ミサイル(テポドン1,2)の発射失敗や、不完全な核実験でもアメリカに核を売ることができると考えている。

 ブッシュ政権はそのことを100も承知で北朝鮮の核兵器破棄の見返りに援助を与えることを決めている。ブッシュ政権は北朝鮮の核武装を話し合いで阻止したという”外交成果”が欲しいからである。中島ソウル支局長は韓国の盧武鉉大統領だけでなく、ブッシュ大統領に対しても、非人道的な独裁政権を支援する危険を指摘していると思った。私も同感である。

 金正日は今の朝鮮戦争の休戦状態から、朝鮮半島の恒久的な平和体制移行も高く売れると考えている。そのために北朝鮮は先軍政治を掲げ、国力を疲弊させる兵力100万人を維持している。周辺諸国に北朝鮮軍の兵力削減を高く売るためである。

 すなわち北朝鮮は恐喝国家、脅迫外交の独裁国家なのである。その事実だけは韓国政府や韓国民は忘れないで頂きたい。北朝鮮には飢えた子どもたちや、病気でも治療を受けることなく死んでいく人々がいることを。

小沢氏「ISAF参加」、発言で

民主内に賛否両論

(読売 10月4日 朝刊)

[概要]民主党の小沢代表が党の機関紙(5日付け)で、アフガンの治安維持を担う国際治安支援部隊(ISAF)への参加に前向きな考えを示した。小沢氏はインド洋での給油活動継続反対の理由として、米国が「自衛の戦争」と宣言して武力行使したことで、日本は他国の自衛権に自衛隊を派遣できないから、現在の給油活動は憲法違反にあたるとしている。

 その上で、治安維持を目的に2001年12月に国連安保理決議に基づいて発足した「ISAF」については、「国連の決議によってオーソライズされ、憲法に抵触しない」と指摘し、「政権を担い、外交・安保政策を決定する立場になれば参加を実現したい」と強調した。

 これに対し党内から、「発言は正論だ。何でも反対と誤解されてはいけない。テロと戦う姿勢を示すためにもISAF参加を打ち出すべき」(長島昭久衆院議員)と歓迎する声がでている。しかし党内には、「ISAFの活動は危険性が高い。対案は、医療チーム派遣など民生部門中心にすべき」との声も強い。

 執行部は3日、アフガンに国会議員を派遣する視察について、「最優先の課題ではない」として当面見送ることを決めた。

 政府・与党はISAF参加は否定的だ。自民党の中谷元・元防衛庁長官は「現在の自衛隊の装備、訓練では対応できない。我々は武力行使しないことを基準としている」と述べ、ISAF参加は非現実的との見方を示した。

[コメント]あれっ、と思ってこの記事を読んだ。自民党は今年になって外相、首相、防衛相が相次いでNATO本部を訪問し、日本のISAFへの参加意欲を示していたからだ。また、防衛省が密かにアフガン派遣の検討を本格的に開始したと聞いたことがある。ところが7月の参議院選で大敗して、アフガン派遣は無くなったと思っていたら、こんどは小沢代表からインド洋の給油の代わりにISAF参加が語られ始めた。この記事でいう”自民党がISAF参加に否定的だった”とは間違いである。7月の参議院選で自民党が勝っていれば、間違いなく自衛隊のISAF派遣は行われていた。それも今年中にISAFに陸自の先遣隊が派遣された可能性が高かった。

 また中谷元防衛庁長官の発言も奇妙である。だれのセリフかと疑った。陸自をイラクのサマワに派遣した時、「自衛隊はイラクの戦場に派遣する装備はなく、訓練も行われてない。さらに自衛隊員が誤射した場合の法整備も行われていない」と批判されたのは中谷前防衛庁長官(当時)たちだった。それを承知でサマワに自衛隊を派遣して、自民党は選挙で大量の自衛隊票を失ったのである。自分が批判された言葉で今度は同じことを批判する。

 石破防衛相も自分たちが作ったテロ特措法に自信があるなら、新法ではなく現法の延長で説得すべきである。デタラメな法律を作ったから、新法で対応するしかないのだ。

 昨日、外国の通信社から自衛隊のISAF参加の可能性について取材を受けた。その結論を先に言え

ば、「自衛隊がアフガンに派遣されることは間違いない」と答えた。自民党も民主党も党首が自衛隊のISAF派遣を検討しているのである。問題はその派遣の形である。まずアフガンの治安を回復させ、国土復興を軌道に乗せ、アフガンの平和と繁栄を築くための派遣ならいい。自衛隊員も誇りと使命感でアフガンに行くことができる。しかし日本の政治家が政権を維持するために、アメリカの戦争に奉仕するために行くことはできない。それでは自衛隊員は死ねないのだ。

 小沢氏は昨日の代表質問を鳩山幹事長にまかせ、それが終わると本会議を中座したと報じられている。中座して小沢氏はアフガンで活動する福岡市のNGO「ペシャワールの会」(現地代表 中村哲医師)に電話していたという。(毎日新聞 4日付 朝刊) 小沢氏が描くのは「ペシャワールの会」の護衛や後方支援を自衛隊が担うことではないか。ISAFが推進するPRT(地方復興チーム)に自衛隊を派遣することである。PRTとは軍人及び文民復興支援要員から構成され、治安環境と復興事業に従事させる小部隊のことである。

 石破防衛相に言いたいことは、石破氏が防衛庁長官時代に「サマワに陸上自衛隊を派遣する場合は、長官自ら(石破氏)がサマワに行って安全を確認してきます」と言ったのに、あまりに危険なためにサマワに行けず、陸自部隊をサマワに派遣したことを自衛隊員は忘れていないことである。自衛隊という組織では、このような背信は極めて軽蔑される行為となる。

(※ 中谷防衛庁長官はアフガン戦争でテロ特措法を制定させ、石破防衛庁長官はイラク戦争でイラク復興支援特措法の制定で陸自をイラクに派遣した。いずれも従来の自衛隊・海外派遣とは異なり、自衛隊を戦場に送り出すための特措法であった)

※ペシャワールの会の現地代表である中村哲医師(61)の名前を中村均と間違えていました。訂正してお詫びします。(10月5日)

南北首脳7年ぶり対面

金総書記だんまり

「老い目立つ」の指摘

(朝日 10月3日 朝刊)

[概要]00年以来、7年目の南北首脳会談で、韓国の代表取材団が伝えた映像は、最高指導者の「老い」も映しだした。正午前、金総書記はベンツからあくびをしながら歓迎式典に降り立った。盧武鉉大統領とは、握手の際、互いに「お会いできてうれしいです」と短くあいさつしただけだった。7年前の金大中大統領(当時)と交わした抱擁もない。

 北朝鮮関係筋は「総書記より16才年上の金大中氏と4才年下の盧武鉉氏とでは、対応が違うのは当然」と指摘。南北共に儒教文化が残り、長幼の序に厳しいからと言う。ただ韓国メディアは、7年前と比較して明らかに「老い」が目立ったと指摘する。白髪が目立ち、皮膚につやがない。心臓病や糖尿の持病を抱え、今春には心臓バイパスの手術を受けたの情報がある。

(写真は朝日新聞 10月3日 朝刊より  右は昨日の盧武鉉大統領を出迎えた金総書記、左は00年に南北首脳会談当時の金正総書記)

[コメント]昨日(夕方)のテレビニュースでは、金総書記ゆかりの人たちが「表情や体型は以前とまったく変わりない」というコメントをしていたが、私はまったく逆の印象を受けた。まず大きく突きだした腹である。血管にかかわる持病なら、痩せるべき食事管理が行われていないと感想を持った。

 今年7月5日の朝鮮日報(韓国紙)が2枚の写真を公表した。

http://www.chosunonline.com/article/20070705000004  (「メールにお返事」 7月6日参照)

 左は4月25日の朝鮮人民軍創設75周年記念日に撮られた写真である。それから5月に金正日は心臓バイパスの手術をドイツ人医師団から受けた。右の写真は7月3日に中国の楊外相が訪朝した際に撮られた写真である。その後、韓国は北朝鮮への経済援助で、北朝鮮の医療チームがドイツに循環系病気に備えた研修チーム派遣に資金を提供したことがわかっている。

 また日本のラジオ・プレスは、金正日が今年前半に国内メディアで報じられる動静情報が激減したと報じた。今年1月〜6月までは31回で、昨年同期の67件の半数以下である。金正日の人民軍視察も13件で昨年同期の48件で、全体の動静情報の中でも72パーセントから42パーセントに減ったという。(読売新聞 7月2日付け)

 今年9月20日に韓国の北朝鮮専門インターネット「デーリーNK」は、金総書記に認知症の初期症状が見られという情報を米政府が入手し確認していると報じた。金正日の判断力が低下したため、金正日にまわってきた文書決裁の一部を側近らが代行しているという。(読売新聞 9月21日付け)

 このように情報を追っていくと、金正日は軽い認知症の症状が出て、一定の周期や症状で判断力の低下が出るのではないだろうか。普段の生活は何ら異常はないのだか、時々、幻覚や幻聴症状が出て、異常な行動や発言をするという症状である。

 私の近い知り合いに、軽い認知症の女人(86才)がいる。普段は一人で病院に行くし、一人でデパートに行って買い物や食事をしてくる。(往復の移動はタクシー)。また毎日、新聞を読んだりテレビのニュースを見て時事問題の感想を話す。同世代の人と比べても至って正常な行動や発言で、むしろ雄弁でさえある。しかし時々変な行動をするのだ。深夜に、「ベッドの下に泥棒が隠れているので捕まえてくれ」とか、親戚に電話して、「同居している娘がドイツに行くことになった。これからの生活が心配」と話したりする。もちろんそのような事実はない。「うちベランダに下の階の男の人が隠れている」「病院の先生がお酒を飲んで来て怒鳴りつける」(その先生はお酒が飲めない)など、平均すると月に1〜2回ほどの程度で起きている。

 実はこの女性のお腹が異常に突き出ている。軽い認知症のためと思うが、夕方になると異常なほどの食欲が起こり、お菓子を大量に食べたり、1時間後の夕食ができるのが待てなくなったりする。症状が出ている時は食事の量も多く、明らかにカロリーの取りすぎと思うが、自分で食事の管理ができないためである。

 私は昨日の金正日のお腹を見て、食事管理ができていないと強く感じた。これも軽い認知症の症状と思うのだが・・・・・。周囲が心配して食事を与えないと、本人がイライラして症状がさらに悪化するようだ。

 前にも書いたが、6カ国協議でアメリカが北朝鮮に大幅な妥協をして「核の無力化」を急ぐのは、金正日の病気説が背景にあるような気がしてならない。

海自のインド洋給油

艦船名など17点

民主が給油

資料要求

政府に情報開示を求める

(読売 10月2日 朝刊)

[概要]民主党の直嶋政調会長は1日、国会内で町村官房長官と会い、インド洋で行われている海自の米艦船などへの補給活動について、給油した艦船名や補給した地域など、17点に及ぶ資料を速やかに開示するように求めた。同党はこれまで、外務、防衛両省に情報開示を求めたが、十分な回答がなかったため、官房長官に両省を指導するように要求した。

 具体的には、@詳細な給油地域、給油回数などの実態 A給油を行った艦船の運航計画の概要 Bアフガニスタンでの主要な作戦の概要 などで、直ちに資料提出が出来ない場合は、いつまでに提出ができるかその日時を回答するように求めた。

 民主党は高村外相、石破防衛相にも同じ申し入れを行った。町村氏は同日の記者会見で、「基本的には出来る限りの情報を開示するべきと考えている。ただ、軍事的なオペレーションなどを詳細にだすことが、テロリストの思うつぼになってはいけない」と述べ、提出できるものとできないものがあることを示唆した。

 民主党は、国会議員数人をアフガンに派遣し、民間活動団体(NGO)に人道支援活動や、国際治安維持部隊(ISAF)の活動を視察することを計画している。

[コメント]インド洋での海自の給油継続を、自民党が現行のテロ特措法の延長ではなく、新法提出で対処すると決めた段階で、現状はテロ特措法の範囲を逸脱している判断したからと考えている。まあこの場合は自民党というよりも、防衛・外務の両省の官僚がそのように判断したのだろう。

 これから臨時国会の議論で、両省がどれだけ実態の情報開示を拒むか見ものである。実態の情報開示は軍事機密でテロリストに利する行為というのは、00も方便というものでしかない。そんなことで騙されるほど国民を舐めてはいけない。このインターネットの時代では外務・防衛が機密だという資料(情報)がネットにはあふれている。各国の政府や国防当局が、自国の国民に「対テロ作戦」の理解を得るために詳細な情報をネット上で公開しているからである。国民に知らさなければ大丈夫というのは”北朝鮮的な発想”である。

 それから最近気になっているのは、インド洋やペルシャ湾は日本の石油タンカーが通るオイルラインで、その日本の生命線を守るために海自の給油が大事ということを強調してきたことである。以前、大平首相の時代にも同じように、日本から1000海里が海自の防衛圏と言われたことがある。アメリカの要請でマラッカ海峡の付近(マラッカ海峡は含まない)まで、海自の艦船が活動するように言われたからである。それで日本は100機のP3C対潜哨戒機(現在は80機)を配備した。

 この論の危険なのは、結局、中東の戦場に自衛隊を派遣する口実に使われるからである。中東の石油は日本にとって生命線だから、中東の治安維持に自衛隊を派遣すべきという論になっていく。

 もし日本にとって中東の石油が大切なら、中東でテロ勢力が拡大しないような外交を行うべきで、アメリカの戦争に自衛隊を差し出すことではないと思う。今のアメリカの中東戦略でテロ勢力が衰退するどころか、逆に勢力を拡大しているように思える。

 対テロ戦争という便利な言葉が通用しなくなると、今度は日本のオイルライン防衛という”使い古した言葉”が復活してきた。

 そうか、民主党がアフガンに調査団を出すのか。ダメモトで同行取材を申し込んでみるのもいいかもしれない。しかしどこが窓口で、誰に申し込むかわからない。

100人以上の僧侶・市民

   殺害された

強固な基盤 

  揺るがず

長井さん使用のビデオ

  返却されず

(産経 10月1日 朝刊)

[概要]ミャンマーで僧侶によるデモを主導した全ビルマ仏教僧連盟の幹部、ウベカー師(37)は潜伏中の中部マンダレーで産経新聞の電話取材に応じて、全国のデモで参加した僧侶と市民の100人以上が殺害され、約1000人が逮捕されたと述べた。

 ウベカー師によると、ヤンゴンでは最近3日間に5か所の僧院が軍と警察の混成部隊の襲撃を受けた。午前3時頃に治安部隊が僧院の門を閉鎖して僧侶を閉じこめ、僧侶らを殴りつけてヤンゴン市内のインセイン刑務所に連行した。収容出来ない僧侶約400人がその外側に拘束されているという。

 軍政がデモの本格的な武力制圧に乗り出した26日以後、88年の民主化運動で投入された第77軽歩兵師団の姿が見られた。歴史的にビルマ族に厳しく統治され、複雑な民族感情を持つチン族を主体に構成された師団で、「ビルマ人に対して銃を向けることをためらわない」(消息筋)という。軍政は88年の民主化デモの鎮圧経験から、緊急事態に対処できる第77師団のような部隊の育成に力を注いできた。また88年の民主化運動の主役として活動したミン・コー・ナイン氏ら「88年組」とされる活動家の身柄を押さえて、デモのリーダーが生まれないように細心の注意を払った。

 バンコクの観測筋は「ミャンマーでは48年の独立後、共産党の半政府運動や各少数民族の分離独立運動を、軍は武力で対応してきた。そのような経験から強固な軍政の基盤は容易に揺るがない」と指摘する。

 国連からミャンマーに派遣されたガンバリ特使は、ヤンゴン市内の政府施設でアウン・サン・スー・チーさんと約1時間以上面会した。面談内容は明らかにされていない。軍政がスー・チーさんとの面談を容認したこといについて、「国連に譲歩した姿勢を見せることで、国際社会の不満にガス抜きを図る狙いではないか」(外交筋)という見方をしている。

 ヤンゴンでデモを取材中に射殺された長井健司さんのビデオカメラは、APF通信の山路社長に現地警察は予備用でバッグに入っていたビデオ・カメラは返却したが、現場で使っていたカメラは返還はしなかった。

[コメント]ロイターが配信した写真で、長井さんが射殺された時に至近距離にいた兵士が、軍靴をはかずサンダル履きであることに違和感を持った。通常なら考えられないことで、おそらくヤンゴンから遠く離れた山間部に配置された部隊で、ジャングル以外の戦闘ではサンダル履き(素足)が普通の部隊と推測した。それがチン族で編制された第77師団だったようだ。ミャンマー国内では厳しく差別された少数部族で、経済的に貧しく識字率も低いといわれている。チン族の宗教で仏教徒は少ないと思う。だから仏教徒が多いミャンマーで差別されてきた。

 長井さんの取材ビデオ・カメラは、混乱して逃げるデモの民衆や、それを警棒で襲いかかる治安部隊の兵士を撮影していることは間違いない。私を含めてカメラマンの本性として、そのような混乱した事態が起これば、無条件にカメラを回すことは理解出来る。そのために長井さんはデモ隊に紛れ込んで取材しているのである。そして手に持っていたビデオの最後のカットは、背中に受けた銃弾の衝撃で体が飛び上がり、地面に激しく倒れるまでの空中を泳ぐ映像と思う。そのような映像が世界のメディアに配信されれば、ミャンマー軍政が受ける打撃は極めて大きい。まさに長井さんが命をかけて告発したメッセージなのである。

 国民の民主化運動を弾圧し、軍事独裁の軍政ミャンマーへの怒りは、段々と広がり高まっていくことは間違いない。軍政が民主化の指導者を拘束するなら、これからミャンマーの民主化は小さな川の流れを作ることである。小川が集まって大河になるように。大河になればだれもその勢いを止めることができなくなる。


※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。