東京労働局(村木太郎局長)はこのほど、昨年4月から今年3月までの1年間における「監督指導による賃金不払残業の是正結果」を取りまとめた。同局の勧告・指導に基づいて割増賃金を100万円以上支払ったのは東京都内185の事業所で、支払い総額は37億7,575万円だった。このうち、病院や診療所などの「保健衛生業」の支払い額は2,107万円で、1人当たり平均2万8,000円と低い金額にとどまった。 支払い額を業種別に見ると、最も多かったのは「金融・広告業」の13億1,874万円で、1人当たり平均12万9,000円。次いで、「商業」の9億8,698万円(1人当たり12万円)となっている。
一方、最も少なかったのは「交通運輸業」の301万円で、1人当たり3万8,000円。次いで、「映画・演劇業」の1,040万円(1人当たり23万6,000円)となっており、「保健衛生業」は、4番目に低い水準だった。
東京労働局によると、労働基準監督署による勧告や指導は従業員からの投書などを契機に実施しており、労働条件や賃金不払い残業などに関する相談件数は年々増加。2007年度調査では1,501件と、前年に比べて20件増加している。
しかし、東京都内の事業所のうち病院や診療所などに勤務する職員からの申告件数は減少傾向にあり、04年の申告件数は171件、05年が116件、06年には95件となっている。
同局の担当者は「スーパーの店員のように時間給が厳密に決められている職種の場合には30分の時間外手当が払われなかっただけでも申告してくる場合がある。しかし、調理師や美容師のように、『プロを目指して腕を磨くため』とか『将来独立するため』という目的がある職種の場合、残業代の不払いを労働基準監督署に訴えない傾向があるのではないか」と推測している。
更新:2007/10/18 キャリアブレイン
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