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【記者コラム:越中春秋】

対岸の火事ではない

2007年10月18日

 医療保険に加入していながら、保険会社の支払い拒否によって必要な治療が受けられない。あるいは高額な医療費で生活が追い込まれる。

 国民健康保険制度を持たない米国の医療問題を取り上げたマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー調映画「シッコ」を見た。診療を拒否し、保険金支出を抑えた医師には保険会社が報酬を出しているとも紹介され、あまりに非人道的な慣行に怒りを覚えた。

 一方の日本。産科、小児科、麻酔科などで医師が不足している。奈良県で救急車を受け入れる病院が見つからず、妊婦が死産した事件は記憶に新しい。診療報酬も年々抑制されている。病院も患者も追い込まれつつある。

 映画で見た米国の“医療崩壊”。決して対岸の火事には思えなかった。

  (飯田竜司)

 

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