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2007年10月18日

◎1年目のBCリーグ 地域密着これからが正念場

 終盤まで激しい首位攻防を繰り広げたプロ野球独立リーグ・北信越BCリーグは、石川 ミリオンスターズが初代王者に輝いて閉幕した。地域貢献と活性化を掲げてスタートした同リーグは、地元各界の後押しを受けて、大いに盛り上がったと言えよう。二年目からは、新球団の参入も予定されており、エリアがさらに広がる見通しだが、各球団とも、しっかりと地元に根付かせることができるかどうか、これからが正念場であろう。ふるさと意識をもって地域密着の姿勢を強め、地元サポーターもこれまで以上に応援したい。

 シーズンを通して、石川をはじめ各球団とも、試合のみならず、地方へ出向いての野球 教室や各種啓発活動、能登半島地震の復興支援、さらには突然の不整脈などで倒れた人を助けるAED(自動体外式除細動器)の普及にも取り組んだ。「スポーツ市民」として、地域の信頼を得る活動も積極的に行ってきたことは高く評価できる。

 こうした地道な地域貢献の成果もあってか、観客数をみると、平均入場者数は約千八百 人となった。目標とした五千人には届かなかったものの、先行する四国アイランドリーグの初年度の約千人を大きく上回る数字となった。

 石川については、有料、無料の割合もあって一概には言えないが、ホームゲームの入場 者が一試合平均約千百人で、他の三球団と比べて今一つの感はある。四国リーグで、二年目の観客数が一年目と比べて約25%も減ったという前例もある。それだけに石川としては、優勝に至る後半の盛り上がりを追い風に、一層、地元の認知度を高め、熱烈なファンを増やしていきたい。

 来年からは群馬、福井が加盟し、さらに福島や静岡から加盟に関する問い合わせもある など、さらに広域のリーグに成長する方向だ。九州リーグも来年スタートし、独立リーグを切り口にした地域間交流も活発になるだろう。北陸新幹線の開業を前に、人の行き来を促す意味でも一層盛り上げていく必要がある。

 野球人気が低迷する中で、その基盤を支えるために地域で人材育成を図り、また何より も地域の一体感を高める推進力として、わがふるさとの球団を後押ししたい。

◎中国の対外援助 「調和」の看板忘れずに

 発展途上国に対する経済援助は「透明性の確保」を原則にすべきであるという日本側の 主張に中国が猛反発し、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)の首脳会談で出される共同宣言の日本案が修正されたという。エネルギー資源確保などのために、なりふり構わぬ「援助外交」を展開する中国に対して、多くの国々がまゆをひそめている。途上国への経済援助は「透明性の原則」に基づいて行ってほしいというのは、国際社会の共通の思いであることを中国は認識してほしい。

 中国の対外経済援助で、かねて問題になっているのはスーダンとミャンマーに対する支 援である。スーダンでは、ダルフール紛争での住民虐殺が国際問題になって久しく、ミャンマーでは軍事政権による民主化勢力の弾圧が続いている。両国の人権問題や不正に目をつむるようにして、武器供与を含む積極支援を続ける中国の援助姿勢に、国際的な批判が高まっているのは無理もない。対中国批判の中には、北京五輪ボイコットの強硬意見もある。

 中国の胡錦濤国家主席は、中国共産党大会の活動報告で、内政では格差や環境汚染など 経済成長のひずみを正して「調和社会」を実現すると説き、外交では平和・共存の「調和世界」建設を強調した。対外政策の看板として「調和」を掲げるのであれば、対外経済援助もそれにふさわしい形でなされるのが筋であり、国際社会から後ろ指をさされることがないようにしてもらいたい。

 「経済援助の透明性」を盛り込んだASEANプラス3首脳会談の共同宣言案に対し、 中国は「内政不干渉の原則」を持ち出して強く反対したが、途上国に対する経済支援は透明性原則で臨むのが、「責任ある大国」の態度と言えよう。

 日本はアフリカでのエネルギー資源確保を念頭に、対アフリカ支援で中国と連携する道 を模索しており、先に開いた日中高官協議の場でも、透明性の高い支援が重要との考えを主張した。アフリカ政策で連携を追求することは、日中両国政府が合意した「戦略的互恵関係」構築の一環であるが、日本としては、中国にとって苦いことも主張していく姿勢が大事である。


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