交通渋滞はモスクワ市の名物になった。車が増えすぎて、違法駐車の車が歩道にまであふれている。
先日、好景気に沸くロシアを取材で訪ねた。繁華街はネオンサインが輝き、スマートな女性がコートに身を包んで歩く。ヘルシーな日本食がブームで、レストランではロシア人の板前が握ったすしをはしを使って器用に食べる。
市内はオフィスビルやホテルの建設ラッシュだ。中でもモスクワ・シティ計画は、九十三階の超高層ビルなど壮大な再開発プロジェクトで、将来は市庁舎なども移転し、一大副都心が生まれる。
かつて財政危機にあったロシアは、原油や天然ガスの輸出で息を吹き返した。資金力を得た企業が投資に走り、中産階級が生まれ個人消費が拡大しているという。外国ブランドの乗用車販売は中古を含め六割を超えた。価格はロシア産の三倍だが、故障のない日本車には特に人気がある。
郊外にはマイカー客を当て込み大規模なショッピングセンターが登場している。レジは日本と同様バーコードを読みとって計算するが、これだけはいらいらするほど遅かった。待つのはソ連時代からの伝統なのだろう。
豊かになったロシアは、専制化を強めるプーチン大統領のもとで、大国への道を再び歩み始めた。強いロシアを目指す大統領への国民の支持は圧倒的なものがある。ロシアの勢いを実感した。