◇限度内確認、落とし主の良心次第
【千葉】成田国際空港の関税業務を担当する東京税関成田支署は、国際線の利用客が出入国前に一時的に滞在する空港・制限エリアの落とし物への課税に頭を悩ませている。同エリアは「みなし外国」の特殊なエリア。持ち主が現れた場合、免税品の遺失物の数量によって課税するかどうかを決定するが、すでに持ち込んだ免税品はチェックできず、数量をごまかして税逃れされる可能性があるためだ。同支署は「取りに来た人の良心を信じるしかない」と話している。【柳澤一男】
制限エリア内での06年の遺失物は1万5078件。遺失物で多いのが、財布、衣類、帽子、眼鏡、腕時計など海外旅行で使う身の回り品。携帯電話の忘れ物も多く、一日平均2件で、遺失物全体の約5%にのぼる。空港ならではの忘れ物は、スーツケースなどのカギ(約4%)、パスポート(約1%)など。また、珍しい物としては入れ歯、かつら、レントゲン写真などもあるという。これらは一度同支署に集められ、国内に入れても問題がないか検査する。その後、落とし主が現れない場合、一定期間を経て県警成田空港署に引き渡され、通常の遺失物と同じ扱いとなる。
同支署によると、検査は麻薬や拳銃など社会悪物件が含まれていないかを確認するという。落とし主が名乗り出た場合、本人しか知り得ない特徴などを聞いた上で引き渡すのが通例だ。
しかし、厄介なのが、免税店で購入したお土産品の扱い。制限エリアは出国審査後の出発者と入国審査前の到着者が航空機を乗り降りするために通る場所で、関税や消費税が非課税となるが、入国などの手続き後には、税関審査の対象になる。
免税品の落とし主が現れた場合、同支署は他に持ち込んだ免税品があるかを聞いた上、税関審査で課税対象になるか判断するという。例えば、紙巻きたばこは1カートン、酒類は3本(1本760ミリリットル)を超えると課税対象。しかし、入国の際にすでに持ち込んでいる非課税品を「持ち込んでいない」と偽れば、たばこや香水、酒などを非課税範囲を超えて持ち込むことも可能となる。同支署は制度の落とし穴を悪用されないか、心配している。
2007年10月1日