このページの本文へ
ここから本文です

郷土料理のテイストを織り込んで
「リストランテ カシーナ」(イタリア料理店、福井市)

素朴な石造りの馬小屋「カシーナ」をイメージした建物は、外壁や堀に越前海岸の石を、5年の月日をかけて自然のままに一つひとつ積み上げたもの

JR福井駅から車で約10分。静かな住宅地の中に忽然(こつぜん)と現れる「リストランテカシーナ」は、イタリア・トスカーナの美しい丘に建つメディチ家の馬小屋をイメージした瀟洒(しょうしゃ)な建物。

地元の繊維会社の代表でもある同店のオーナー、福島喜衞氏が、福井の食材をふんだんに使ったイタリア料理で、この土地ならではの新しい美味しさを感じてもらいたいと、オープンした店だ。

丸ナスの原種ともいわれ煮崩れしにくい妙金ナスや上庄の里芋、勝山水菜といった地場の伝統野菜をはじめ、地元の人も知らないような食材が数多く登場する。

また、九頭竜川の河口に広がる三国港や越前漁港で揚がった魚が、その日の昼には続々と店に届く。


(左)「ノドグロのアクアパッツァ」(6800円、写真は2人前)
(右)井上和広シェフは魚介の料理を得意とする

そして、福島氏が特に食材としてこだわったのは、「残したい日本の自然百選」にも選ばれた冠山を挟んで岐阜県に接する池田町産の無農薬・無肥料栽培のコシヒカリ。香りが良く、蒸らすとむっちりとした歯ざわりだ。

名物は、この米を生かしたリゾット料理。米を玉ネギなどと炒め、フライパンでスープと共に煮込む一般的な作り方をせず、炊いた米を軽く焼き締めて円筒状に成型したリゾットをスープと共に味わう、お茶漬け感覚の一品。具やスープは季節によって変わり、夏なら九頭川の鮎、若狭グジ、サザエなどの魚介で取っただしをかけて味わう趣向だ。ウニやキャビアのときもある。

(左)名物の「福井の魚介を使った焼きリゾット」(2900円)は、魚介類の旨みがギュッと詰まったまろやかな味わい。薬味にミョウガを使っているのがポイント
(右)落ち着いたメインダイニング。床にはカリンを使っているという

「若狭牛のシャトーブリアンのグリル(2人前)」(8800円)には、付け合わせに福井の地野菜、妙金ナスをソテーして添えている

現在、同店の厨房を預かっているのは、魚料理を得意とする井上和広シェフ。冬には、福井ならでのセイコガニを1匹丸ごと使ったパスタを作る予定だ。また今後は、「すこ」(赤ズイキを使った酢の物)など、福井の郷土料理をイタリアンの技法で作ったメニューも提供していきたいという。

ここでしか味わえない食材と料理。ヨーロッパに旅をしているかのような非日常の空間。食事とワインで1万円という“プチ贅沢”価格──。こうした魅力があいまって、地元客の「特別な日」需要だけでなく、東京や京阪神からのお客の予約も絶えない。


店舗DATA
福井市文京1-40-1
TEL:0776-29-1128
2004年12月開業●店舗面積/150坪(495m2、敷地面積は1000坪)●席数/72席●営業時間/11:30~14:00(L.O.)、18:00~21:30(L.O.)、月休●客単価/昼3500円、夜9000円●スタッフ数/17人●経営/アヴォンリーエステート

ここから下は、過去記事一覧などです。画面先頭に戻る バックナンバー一覧へ戻る ホームページへ戻る

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る