ニュースアイデアに著作権なし……それでも「いいめもダイエット」サービス停止「いいめもダイエット」が10月17日にサービスを停止する。書籍「いつまでもデブと思うなよ」の著者である岡田斗司夫氏から「著作権の侵害」としてクレームがついたため。2007年10月16日 01時47分 更新
「いいめもダイエット」が10月17日にサービスを停止する。いいめもプロジェクトが開発ブログで明らかにした。書籍「いつまでもデブと思うなよ」の著者である岡田斗司夫氏が、いいめもダイエットに対して「著作の核心と同一ですので、著作権の侵害に当たる可能性が極めて高いと思います」と主張したためだ。 アイデアに著作権なし――岡田氏の本意は?いいめもダイエットは、「食べたもの」と「カロリー」を書いたメールを専用メールアドレス「 d@ememo.jp 」に送信すると、ダイエット記録の一覧にまとめてくれるサービス。「いいめも おこづかい帳」に続く、いいめもプロジェクトの第2弾で、岡田氏の著作で紹介している「レコーディング・ダイエットに使いたい」という利用者の意見を元に開発したという。 このいいめもダイエットに対して、岡田氏からクレームが入った。いいめもプロジェクトの開発ブログによると、岡田氏は「記録をしてダイエットに結びつけるという発想は、私の著作からスタートしていますので、見た目上はただの記録するのに便利なものですが、それをダイエットに結びつけているという点で言えば、私の著作の核心と同一ですので、著作権の侵害に当たる可能性が極めて高いと思います」などと指摘。サービスの停止を求めたという。 本来、アイデア自体の著作権は認められない。文化庁でもアイデアの登録について、「発明やアイデアそのものは著作物ではないので、著作権による保護はない」と明文化。サイバー法などに詳しい北海道大学法学研究科教授の町村泰貴氏も「著作権というのは表現を保護するもの。例えば、記録してダイエットに結びつけるというアイデアそのものは著作権の対象となり得ない」という。 ITmediaでは岡田氏に取材を申し込んだが、返答はまだない。
サービス停止、著作権侵害の有無に関わらない一方、いいめもプロジェクトでは著作権侵害を争うつもりはないという。「著作権を侵害していなかったとしても、サービスを再開することはない」(同プロジェクト)。著作権侵害の有無に関わらず「サービスを停止する」という。 いいめもダイエット側の“落ち度”を指摘するとすれば、「サービスの宣伝のために氏名や著書を無断で利用した」と岡田氏に思われてもしかたなかったこと。いいめもダイエットのプレスリリースに記載していた岡田氏の氏名や著書について利用許可を事前に得られなかった。「開発中に岡田氏に許可をお願いしたが、公開までに許可の連絡がなかった」(いいめもプロジェクト) “岡田騒動” 一番の被害者は……いいめもプロジェクトは、それぞれに別の本業を抱える3人の開発者によるチーム。いわば副業のいいめもダイエットで、岡田氏との揉め事ではなくサービス停止を選んだのは、非営利のプロジェクトの悲しさ──といえそうだ。他方、クレームをかわして開発に注力したいという開発者集団ならではのしたたかさも感じる。 とはいえ、いままで公開した「おこづかい帳」「ダイエット」といった2つのサービスは、簡単な操作方法や携帯電話でも利用できる手軽さで、公開以来5000人の利用者を集めた。いいめもダイエット自体の利用者数は公開していないが、まさかリリースから1カ月もしないうちにサービスが停止してしまうと予想していた利用者は少ないはず。今回、一番の“被害者”は「今後も利用できる」と信じていた利用者だろう。 なお、いいめもダイエットの利用者は、これまで記録していたデータを取り出せる。「今月」というサブジェクトを17日までに「 d@ememo.jp 」宛に送信すると、これまでの記録を記載したメールを返信するようにした。いいめもプロジェクトでは「サービス停止までにデータを取り出して」と呼びかけている。 関連記事
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