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自殺:原因は上司の暴言 「パワハラで労災」初認定--東京地裁

 ◇「居るだけでみんなが迷惑」「給料泥棒」

 製薬会社「日研化学」(現興和創薬、本社・東京)の男性社員(当時35歳)が自殺したのは上司の暴言が原因だとして、妻が国に労災認定を求めた訴訟で、東京地裁は15日、請求を認め、静岡労働基準監督署の労災不認定処分を取り消した。渡辺弘裁判長は「上司の言葉が過重なストレスとなってうつ病になり、自殺した」と判断した。原告代理人によると、パワーハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)を原因とした自殺を労災と認めた司法判断は初めて。

 判決によると、男性は当時、名古屋支店静岡営業所(静岡市)でMR(医薬情報担当者)として勤務。02年秋以降、上司の男性係長から「存在が目障りだ。居るだけでみんなが迷惑している。お願いだから消えてくれ」「仕事しないやつだと言い触らしたる」「給料泥棒」などと厳しい言葉をたびたび浴びせられた。男性は同年末から心身に変調を来し、03年3月に首つり自殺した。労基署は労災と認めなかった。

 係長の発言について、判決は「キャリアばかりか人格や存在を否定するもの。男性のストレスは通常の上司とのトラブルより非常に強かった」と指摘。遺書に記されていたことも踏まえ、係長の発言で男性がうつ病を発症したと認定した。

 妻は日研化学にも賠償を求め提訴したが、昨年和解が成立している。

 判決後、男性の妻は「裁判をやったかいがあった」とコメント。原告代理人の川人博弁護士は「画期的な意義がある」と話した。【北村和巳】

 ◇静岡労働基準監督署の話

 今後の対応は、判決内容を検討し、関係機関とも協議して判断したい。

毎日新聞 2007年10月16日 東京朝刊

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