【東京】文部科学省の高校歴史教科書検定で沖縄戦における「集団自決」(強制集団死)の日本軍強制の記述が削除・修正された問題で、教科書検定意見撤回を求める県民大会実行委員会のメンバーらは15日夕、首相官邸に大野松茂官房副長官を訪ね、検定意見の撤回と記述の回復、沖縄条項の確立など4項目を求めた。仲里利信実行委員長(県議会議長)によると、大野副長官は「文科相に、皆さんの意をくんだ形で対処してほしいと伝える」と答え、具体的な言及はなかった。
仲里委員長は「一歩でも前進する発言があれば良かったが、正直なところ前回(の要請)とあまり変わらなかった」と不満を見せた。
実行委が求めたのは(1)検定意見の撤回、記述の回復(2)教科用図書検定調査審議会の開催(3)審議会の公開、沖縄戦研究家の参加(4)県民への配慮と是正措置に関する政府談話、沖縄条項の確立―の4項目。大野副長官は一つ一つの項目について言及しなかった。
一行は当初、福田康夫首相、町村信孝官房長官、渡海紀三朗文科相との面会を求めていたが、日程の都合がつかなかった。
大野副長官への要請で、要請団からは「教科書出版社からの訂正申請だけでは納得できない」と文科省の責任を追及する声のほか、沖縄戦の体験談を語りながら「二度と同じことを繰り返さないよう後世に正しく伝えなければならない」などの声が上がった。
永田町の星陵会館では15日夕、「教科書検定意見撤回を求める総決起集会」(東京沖縄県人会、大江・岩波裁判を支援する首都圏の会共催)が開かれ、約650人(主催者発表)が集まった。
実行委員会メンバーらは16日、新党日本、自民党、社民党、民主党、共産党、公明党、国民新党を訪れ、要請する。午後1時に教科書出版社、同2時半には文科省で池坊保子副大臣に要請する。
(10/16 9:47)