2007年10月02日
なぜ?絶えないハリウッドスターの飲酒運転
飲酒運転への取り締まりが厳しくなっている日本とは裏腹に、ハリウッドではスターの飲酒運転が後を絶ちません。
パリス・ヒルトン、リンジー・ローハン、二コール・リッチー、メル・ギブソン…。昨年から今年にかけて飲酒運転で逮捕されたセレブは、こんなにもいます。そして今度はドラマ「24」のジャック・バウアー役で大人気のキーファー・サザーランドまでもが、飲酒運転で逮捕されたのです。
いずれも蛇行運転やスピード違反、違法Uターンなどの交通違反か、自損事故が原因で飲酒運転のために逮捕されていますが、ドラマ「プリズン・ブレイク」に出演していたレイン・ギャリソンは、飲酒運転中に事故を起こし、同乗者が死亡するという大惨事を引き起こしています。
なぜ、これほどまでにハリウッドではセレブが飲酒運転をするのでしょう?。原因の1つに考えられるのは、車社会ロサンゼルスの交通事情。公共交通機関があまり発達しておらず、流しのタクシーもいないロサンゼルスでは、飲みに行くにも車が必要。駐車場を完備するお店も多く、暗黙の了解並びに自己責任といった風習があるのです。
それでも大金を稼いでいるセレブがなぜ、自分の車で飲みにでかけるの不思議に思うはず。セレブは常に運転手付きリムジンで送り迎えされているというイメージが強いですが、それは各種授賞式やパーティー、プレミアなどに出席する時だけ。ハリウッドでは例えセレブでも、普段は1人で車を運転して買い物や食事に出かけたりするのが普通なのです。
また、日本とアメリカの芸能界の仕組みの違いも影響しているのではないでしょうか。所属する芸能事務所がプライベートまで管理し、マネジャーが常に行動を共にする日本とは違い、ハリウッドでは一般的にスターは個人的にエージェント(代理人)や広報、マネジャーをそれぞれ雇っています。つまり、エージェントやマネジャーとは仕事上の契約関係でしかなく、プライベートは完全に自由という考えが強いのです。常に車を運転しているロサンゼルスでは、セレブが自分の運転する車で気軽に飲みに出かけてしまったとしてもある意味何ら不思議はない街なのです。
しかし、もちろんそれは重大な罪であり、本来は若者のロールモデルになるべきセレブたちによる度重なる飲酒運転は、当然許されるものではありません。若者に悪影響を与えていると批判する声も数多くあがっています。
あらゆる言動がネットを通じて公開されるセレブの過熱報道が、お騒がせセレブを助長させていると言う意見もあります。プレッシャーとストレスに押しつぶされそうになる若手セレブたちが、アルコールや薬物依存に走るのだという意見もあります。
パリス、二コール、リンジーの3人は、有罪判決を受けて、それぞれ禁固刑となりました。5年間で2度目の飲酒運転で逮捕されたキーファーも実刑判決を受ける可能性が高く、最大で禁固1年半になると見られています。
日本では未成年アイドルが喫煙しただけで芸能界を追放されほど厳しい処分を受けていますが、未成年で飲酒して2度も逮捕されたリンジーですら、芸能界追放なんてことはなく、むしろ若くて才能あるリンジーを擁護する声も出ているほど。パリスも出所後、これまでと変わりなくセレブ活動を続けています。
例え刑務所入りしても大きなイメージダウンにならない風潮にこそ問題があるように思えてなりません。【千歳香奈子】
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
October 2, 2007 10:00 AM
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/12625