ここから本文エリア

現在位置:asahi.com>関西>ニュース> 記事

国、和解協議に前向き姿勢 大阪高裁C型肝炎訴訟

2007年10月15日

 出産時の止血剤などで血液製剤を投与された後にC型肝炎ウイルスに感染した患者が国と製薬会社に損害賠償を求めている「薬害C型肝炎大阪訴訟」で、国は15日、大阪高裁の和解提案に前向きに応じる考えを同高裁に口頭で伝えた。患者側は同日、和解案を書面で提出し、国側も今後の協議次第で案を示すとみられる。全国で患者170人余りが係争中の集団訴訟で和解に向けた動きは初めて。だが、謝罪や賠償を求める患者側と法的責任を認めない国との隔たりは大きい。

 この日、舛添厚生労働相は東京で報道陣に「大阪高裁の求めに応じ、国の考えを伝えた」と述べた。具体的な内容については「話を前に進めるためにも外に出さない」と明らかにしなかった。厚労省内部などには和解に慎重な声もあり、調整は難航が予想される。

 一方、原告13人が総額約8億円の賠償を求めている患者側は、和解案の骨子を高裁に出した。高裁の要望で具体的内容は明らかにしなかったが、これまで原告側は、国の法的責任▽原告全員への賠償▽患者への恒久対策などを求めており、和解案もこれに沿った内容を盛り込んだとみられる。

 他方、今月1日に三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字と合併)が田辺製薬と合併して発足した被告企業の田辺三菱製薬(大阪市)は高裁の和解提案に対し、代理人弁護士が「発足直後で回答は難しい」と高裁に伝えた。和解案を出すかどうかは「引き続き検討する」としている。

 大阪高裁の横田勝年裁判長は先月14日の口頭弁論で「和解による解決を望みたい」と述べ、少しでもまとまる可能性があれば和解勧告する方針を表明。今月15日を期限とし、当事者双方に和解案の提出を求めていた。

 C型肝炎をめぐる集団訴訟は、血液製剤を投与された患者らが、ウイルス感染は国の対策が遅れたためだとして5地裁に提訴。先月の仙台地裁を除き、大阪、福岡、東京、名古屋の4地裁が国の責任を認め、原告患者が勝訴している。控訴した国は各地の控訴審で、改めて「法的責任はない」と主張して争っている。

PR情報

このページのトップに戻る