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豪州で総選挙、与党劣勢
【シンガポール=藤本欣也】オーストラリアのハワード首相(68)は14日、連邦下院(定数150、任期3年)を解散し、総選挙を11月24日に実施すると発表した。11年に及ぶ保守連合(自由党、国民党)政権の継続か、労働党政権への回帰かが最大の争点。世論調査では野党、労働党有利の結果が続いている。
5期目を目指すハワード首相は15日、「厳しい戦いになる。でも国民は強いリーダーシップ、正しいリーダーシップのために一票を投じてくれると信じている」と約11年の実績を強調するとともに、「所得税の大幅減税実施」という選挙公約の一部を明らかにした。
一方、労働党のラッド党首(50)は「私が国民に提供できるのは新しいリーダーシップだ。未来に対し新しいアイデアを示せない政権を、さらに3年も続ける余裕はわが国にない」と政権奪還への支持を訴えた。
豪州では“資源ブーム”を背景に好景気が続いており、ハワード政権にも大きな失政はない。しかし、首相在任歴代2位という長期政権への風当たりが強いのも事実だ。労働党は環境政策の重視を掲げ、イラクからの豪州部隊の段階的撤退を主張。ラッド党首の清新なイメージも手伝って、高支持率を維持している。
豪有力紙、オーストラリアンが15日発表した世論調査の結果によると、労働党の支持率が56%と、保守連合(44%)を引き続き上回っている。
ラッド党首はオーストラリア国立大で中国語を学び、中国語を不自由なく操る“親中派”の政治家として知られる。
豪州では、最大の貿易相手国である中国の存在感が年々増しており、ラッド政権が誕生した場合、米国重視の外交路線に変化はないにしても、対アジア外交の中心が日本から中国に移行する−との見方も少なくない。
ラッド党首は以前、軍艦船を動員してでも日本の調査捕鯨を阻止すると表明したこともある。