■ 室蘭の艦砲射撃で死亡−韓国人の遺骨返還の動き
【2007年10月9日(火)朝刊】


 太平洋戦争中に室蘭の旧日鉄輪西製鉄所で働き、艦砲射撃で死亡した朝鮮半島出身男性3人の遺骨を韓国の遺族に返還する運動が市民レベルで動きだそうとしている。全道規模の市民団体「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」(共同代表・殿平善彦氏ら5人)が室蘭の市民有志らと運動を準備中。殿平代表は「遺族の高齢化が進んでいることから、室蘭市民と協力しながら遺骨をお返ししたい」と話している。

 遺骨の3人は慶尚南道出身の鄭英得(チョン・ヨンドゥク)さん=死亡時推定16歳、李延基(イ・ジョンギ)さん=同15歳、具然錫(ク・ヨンソク)さん=同17歳。同フォーラムの調査では「強制連行、強制労働は間違いない」とされ、昭和20年7月15日の米軍の艦砲射撃で日本人労働者らとともに犠牲になった。

 3人の遺骨は室蘭市輪西町の光昭寺(橋本昭道住職)に安置、供養されてきた。平成16年に同フォーラムが遺骨の存在を知り、韓国政府の真相究明委員会の調査で同17年3月までに身元が判明。この年5月には遺族らが同寺院を訪れて遺骨と対面したが「日本政府と企業に実態究明と謝罪を求める。遺骨受け取りで問題を決着させたくない」と引き取らずに帰国した。

 その後2年が経過し、遺族らの高齢化が進んでいることから、同フォーラムでは「謝罪などを求める運動は継続しながら、まずは遺骨を返還するべきでは」と方針を転換。今年7月に殿平代表らが韓国の遺族の元を訪ねて返還の意向を説明し、一部遺族の承諾を得た。

 殿平代表は「日韓両国間の歴史を清算し、真の和解を実現するためには日本政府による強制連行・強制労働の実態究明、謝罪が必要。それを求める運動と同時並行で3体の遺骨返還も早期に実現したい」と話す。「市長、自治体が返還への協力を表明してくれればいいのだが」としつつ、「地元室蘭の市民が主体となって返還運動を展開してもらいたい」と希望している。

 
 


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