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「社会での更生、期待し難い」植草被告への判決要旨(5)完 (3/3ページ)

2007.10.16 12:52
このニュースのトピックス刑事訴訟
植草一秀被告植草一秀被告

 (4) 以上のように、被告人が痴漢行為をしていないとする供述はいずれも信用性を欠くと言うべきであり、少なくとも、前記被害者および目撃者の各供述における被害状況および犯人識別供述部分の各信用性およびこれらを裏付けるその他の関係各証拠を排斥するに足りるものではない。

 7 以上より、被告人が本件の犯人である認定は揺らがない。

 (量刑の理由)

 痴漢行為は、混雑した電車内で、羞恥心や恐怖心から表立った抵抗が難しい女性の弱みにつけ込んで、自己の性的欲求の赴くまま、女性の気持ちを顧みることなく敢行されるもので、女性の人格を無視するのも甚だしい身勝手極まりない犯罪である。

 本件で、被告人は、年若い被害者に対し、その背後に密着して立った上、スカートの上からその臀部付近を両手でなで回し、さらに同女が声をあげるなどして騒がなかったのに乗じて、スカートの中まで右手を差し入れて下着の上から臀部付近をなで回すなど態様をエスカレートさせており、卑劣で悪質な犯行態様である。

 被害者の感じた嫌悪感や恐怖心は大きく、自ら被害を訴え出るのは相当な勇気が必要であったと推察されるが、被告人は被害者に対し何らの慰謝の措置も講じていないばかりか、自分は犯人ではないと主張し、被害者に証人としての出頭を余儀なくさせ、その精神的苦痛を増大させたといえる。

 被害者が、被告人に対して、被告人が本件を認めていないこととも併せて「本当に悔しい、許せない気持ちでいっぱい」「刑務所の中で、今まで自分がしたこと、これからの自分をちゃんと考えて」などと厳しい処罰感情を吐露しているのも、もっともである。

 加えて、被告人は、平成10年6月16日に電車内で女性の両ひざを触るなどした痴漢行為による迷惑防止条例違反により罰金5万円に処せられ、さらに、17年3月23日に、女子高生のスカート内をのぞき見る目的で手鏡を差し出したとする同条例違反で罰金50万円に処せられ、厳に自重自戒するべき立場にあったにもかかわらず、それからわずか1年半にもならないうちにまたもや本件犯行に及んでいるのであって、この種事犯に対する規範意識に相当問題があると言わざるをえず、再犯のおそれも否定できない。

 しかも被告人は、その失うものの大きさにかんがみれば理解できなくもない面もあるにせよ、前述のとおり、本件での犯人性を争い、不合理な弁解を弄しており、真摯(しんし)に反省しようとする姿勢が全く認められず、強い非難を免れない。

 そうすると、本件の犯情は悪く、被告人の刑事責任は重いというべきである。

  他方、被告人は、前記の罰金前科以外に体刑前科はないこと、本件によって、110日間余りにわたる身体拘束を受け、マスコミの報道等を通じて厳しい社会的非難を浴びたほか、勤めていた大学の職も失うなどの相応の社会的制裁を受けているといえること、養うべき妻子がいることなど、被告人のために酌むべき事情も認められる。

 

 しかし、これらを十分に斟酌しても、被告人は、前記のとおり、既に2回にわたって同種事犯により罰金刑に処せられていた上、本件犯行時点で、妻子を有し、大学に勤める身上であったのであり、その挙動には強い自重が求められていたにもかかわらず、本件犯行に及んだことは、その社会的責任を放棄するにも等しく、厳しい非難に値する。そうすると、もはや社会内での更生は期待し難く、被告人を主文のとおり実刑に処するのを相当と判断した。

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植草一秀被告

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