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「社会での更生、期待し難い」植草被告への判決要旨(5)完 (2/3ページ)

2007.10.16 12:52
このニュースのトピックス刑事訴訟
植草一秀被告植草一秀被告

 蒲田駅到着直前に、逮捕者らから「逃げるなよ」と言われたので「逃げませんよ」と答えた。到着後、逮捕者らから押さえつけられるかたちで駅事務室に連れていかれたので、女性と話すことはできなかった。ホーム上や駅事務室で、女性と話をさせてくれるよう何度も頼んだが応じてもらえなかった。

 痴漢の疑いをかけられたことは理解していたが、駅員など他の人にやっていないと言わなかったのは、女性と話をすることが先決と考えたためである。女性と話そうとして女性を捜そうとしたが、駅員から力ずくで阻止され、このまま女性の誤解を解かず、警察が来たら、一方的に犯人にされてしまう、マスコミなどにより、家族にも大きな迷惑がかかり、揚げ句の果てに無実の真相を明らかにできず悲惨なことが起こる、それを防ぐには、この場で自分が死んですべてのことを遮断するしか方法がないととっさに考え自分のネクタイで首を絞めて自殺を図った。

 しかし、ネクタイを駅員に取り上げられた。駅事務室に来た警察官からあなたは何をしたのですかとか、何があったのですかなどとは問われていないし、電車の中で女性に不快感を与えるようなことをしましたとは答えていない。犯行を認めるようなことを言ったことは一切ない。

 イ たしかに、本件直後の被告人の呼気から0・47ミリリットルのアルコールが検出されており、本件当時、被告人が酔っ払っていたことは否定できない。

 しかし、犯行を否定し、その後の行動について述べる被告人の供述は前記信用できる各供述に反するほか、それ自体以下のとおり不自然な点が多々あり、信用できない。

 すなわち、被告人は月に6、7回も品川駅を利用すると自ら認めているところ、いくら酔っているとはいえ別ホームから発車する上りと下りを間違えるのはいささか不自然であるし、それはさておくとしても、被告人の目的駅は品川駅から1駅であるところ、被告人は、電車に乗車した時点では逆方向であることに気付き、それから出発するまでに1分間以上もあったというにもかかわらず面倒であるからそのままその電車に乗っていたのは合理的な理由とは言い難い。

 また、電車内で犯人扱いされた際も、被害者や逮捕者らに対し、ほとんど否定しようとせず、騒ぎにするのを恐れていたとしても、目撃者等も捜すことなく、そのまま連行されたというのも理解しがたいし、駅事務室に来た警察官から、人定以外聞かれていないというのも不自然である。

 他方、被告人の供述を全体としてみた場合、本件車両に乗り込んだ時点のことについては、酒酔いのため記憶がないかあるいはあいまいだと述べる部分が多々見られる一方で、痴漢行為をしていないことは間違いないなど、自己に都合のいい点は明確に覚えているとしているのであり、自己の都合に従って供述しているとうかがえる面がある。

 弁護人は、被告人がいう位置関係からは、被害者の述べる態様の痴漢行為をすることはできず、かかる被告人の立ち位置は逮捕者の供述からも裏付けられているとするが、まず、逮捕者の地点は、各図面で見る限り、被害者の右後方という点では一致しているものの、位置としては異なっている。また、その点をおくとしても、逮捕者は、被害者の「やめてください」との言葉を聞いてから、被告人や被害者の方を見ているのであって、被告人が数歩後退した後から目撃を開始し始めていると認められるから、逮捕者の供述によって、本件当時の被告人の位置についての被告人の供述を裏付けることにはならない。弁護人の主張はその前提において採用することができない。

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植草一秀被告

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