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「被害者のスカート繊維が付着」植草被告への判決要旨(4) (2/4ページ)
また、弁護人は、被告人は、被害者の誤解を解くために被害者と話をしようとしていたのであり、話ができないことが分かると、逮捕されれば有罪と決めつけられ、家族に迷惑がかかるなどと考え、これらの重圧に耐えかねて自殺を図ったと主張するが、それらの行為はいずれも被告人が犯人であるとしても矛盾する行為とはいえない。
(2) 被告人の指から採取した付着物に、被害者のスカートの構成繊維である強い青色獣毛繊維と類似した色調の獣毛繊維が付着していたこと、付着していた繊維は被告人の背広の構成繊維と異なること、被告人のネクタイの付着物に、同スカートの構成繊維である明るい青色獣毛繊維と類似した色調の獣毛繊維、さえた青色獣毛繊維と類似した色調の獣毛繊維、強い青色獣毛繊維と類似した色調の獣毛繊維が付着していたこと、付着していた各繊維は被告人の背広の構成繊維とはいずれも異なることが鑑定されており、これらの事実は、被告人が被害者の背後に密着し、そのスカートに触れたことと矛盾せず、被告人が犯人であることに矛盾しないといえる。
もっとも、これらの付着していた各繊維は前記スカートに由来すると判定されたものではなく、他に由来する可能性も否定できるものではない。よって、前記鑑定結果は、被告人が犯人であることに矛盾しないという限度でのみ、被告人が本件の犯人であるとする被害者および目撃者の各供述の信用性を支える事情の一つとなる。
5 以上より、被告人が本件の犯人であるとする被害者および目撃者の各供述の信用性は高く、関係各証拠から、以下の事実は優に認められる。
(1) 本件車両において、被害者は同車両の真ん中に当たるところから進行方向に1歩進んだところに、進行方向を向いて立ち、被告人はそのすぐ背後に同方向を向いて立っていた。目撃者は、被害者の方向を向いて、被害者の左横約77センチメートル離れた位置に立っていた。逮捕者は被害者と被告人の左前方の座席の前に窓を向いて立っていた。車内は、体が触れ合うほどではないが、ある程度混雑していた。
(2) 電車が動き出した直後、被告人は、被害者の臀部付近の側面を着衣の上から、両手のひらで触った。そして、すぐに左手で左の臀部付近を、なで回し始めた。
その間、右手は動かさなかったが、左手の動きを止めると、続いて右手で同じようになで回した。
その間、被害者は助けを求めようとそばにいた目撃者に2、3回ほど視線を送り、目撃者はそれに気付いたが、何もしなかった。
その後、被告人は、右手で被害者のスカートをたくし上げ、下着の上から、その臀部付近をなで回していたところ、被害者が、右回りに振り返って、「やめてください」といった。