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「逮捕直後『間違いない』」 植草被告への判決要旨(3) (2/3ページ)
4 以上のように、被害者および目撃者の各供述中の犯人を識別する供述部分はそれ自体信用性の高いものであるが、さらに、以下の事情から、その信用性が補強される。
(1) ア 前記信用できる被害者および目撃者の各供述に加え、被害者が被告人に対して抗議をしているのを目撃し、被告人を逮捕した逮捕者、蒲田駅事務室で被告人に対する事情聴取を行った警察官の各供述など関連各証拠から、次の事実が認められる。
被害者が、振り返り「やめてください」といったところ、被告人は、目を見開いて「やばい」と感じているような表情をして、数歩後退し、少し右方向に向きを変え進行方向右側ドアの方を向いた。そのとき、手を顔の前に失礼というような感じで上げて、被害者に対して2、3回頭を下げた。
被害者は、被告人に対し、「恥ずかしくないんですか、子供たちの前で」「次で降りてもらいますから」などと言ったが、被告人は、目をつむって抗議に反応を示さなかった。被害者は抗議しながら泣きはじめ、そのまま泣いていると、逮捕者が近寄り、「触られたの、突き出す」と尋ねてきたので、うなずいた。
逮捕者が、被告人の右腕を軽くたたいて、「突き出すからね」と告げたところ、被告人は、黙ったまま、かすかにうなずいた。その後、蒲田駅まで、被告人はつり革につかまって目を閉じていた。
電軍が蒲田駅に着くと、逮捕者は被告人のネクタイをつかんで、逮捕者に協力した者は、被告人を押し出すかたちで本件車両から下車し、被害者はその後に続いて降りた。
ホーム上で、被告人は、後ろにいる被害者のところへ行こうとしたが、逮捕者に止められた。そして、各人は、蒲田駅事務室に行き事情を聴かれるなどし、さらに蒲田警察署に行って詳しい事情を聴かれるなどした。
被告人は、駅事務室に行ってからも被害者と話をしようとしたものの、それを駅員により止められると、自分のネクタイを使って自殺を試みたが、それも同人から止められた。
当日午後10時30分ごろ、通報を受けて、蒲田警察署地域課地域第1係所属の警察官らが同事務室に来た。被告人は、警察官による聴取において、「あなたは何をしたのですか」との質問に対し、「電車の中で、女性に不快感を与えるようなことをしました」と答え、また、「間違いないのか」との質問に対し、「私がやったことには間違いありません」と答えた。
その後、被告人は蒲田署に連行され、午後10時45分に生活安全課の警察官に身柄を引き継がれた。その間、被告人は、電車内や、降車後のホーム、駅事務室、蒲田署に連行されるに至るまで、被害者と話させてほしい旨は繰り返し訴えたが、やっていない、人違いなどと痴漢行為を否定するような言動や記憶にないなどとの弁解はしなかった。