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「子供の前ではずかしくないんですか!」植草被告への判決要旨(2) (4/5ページ)
ウ この点、弁護人は、目撃者が、被告人の顔を見たと言いながら被告人の掛けていた特徴のある眼鏡を覚えていないのは不自然であること、被告人の右肩が見えていたと言いながら右肩に掛けていたかばんを覚えていないのはおかしいこと、左手を見たと言いながら持っていた傘を覚えていないのはおかしいこと、その証言時、被告人の顔や体格が本件目撃当時に比べてやせていることに気付かないのは不自然であることなどを指摘して、被告人が被害者の臀部付近を触っていたのを目撃したという目撃者の供述の信用性を弾劾した上、被害者が振り返った後の被告人の立ち位置について、目撃者が述べるところと後述の逮捕者の供述内容が異なるとして、目撃者が目撃した犯人は被告人ではなく別の真犯人であり、目撃者は、真犯人が1、2歩後退してドアの方向を向いた後は、その姿を見失い、被害者が被告人を犯人と取り違えて抗議したことに影響されて、被告人を自分が目撃した痴漢犯人であると取り違えたなどと主張する。
まず、被害者が振り返えった後の被告人の立ち位置について、目撃者は、被害者の背後に密着していた被告人が、「被害者が振り向いた直後、1、2歩後ろのほうに下がって、乗車したドアとは反対のほうのドアのほうを向いた」旨を供述しているところ、逮捕者は、被害者の「やめてください」という声を聞いて振り返ったとき、被告人と被害者の距離は51センチメートルより短いくらいで、すぐ後ろだったと述べている。
弁護人は、これをもって、目撃者と逮捕者の述べるところが異なるとするのであるが、まず、被告人の被害者に対する方向についてみるに、目撃者は、「後ろのほうに下がった」と述べているのみであって、具体的に被告人の位置を図で示しているものではないから、これは右後方を含み得る趣旨の供述と解され、必ずしも逮捕者の供述と矛盾するものではない。