ニュース:事件 RSS feed
「子供の前ではずかしくないんですか!」植草被告への判決要旨(2) (1/5ページ)
このニュースのトピックス:刑事訴訟
ウ この点、弁護人は、(1)被害者が犯人の左手を確認したと供述する点については、その供述どおりの姿勢では、自己の左腕に遮られて、自己の左臀部を触っている犯人の左手やその手首に掛かった傘の取っ手を確認することが不可能であるから、被害者は視認状況を誇張して述べており、また、傘の取っ手については警察の誘導によってそう思い込んでいるにすぎないなどとその信用性を弾劾した上、仮に同供述が真実だとしても、それは真後ろにいて、かつ、茶色の木製の取っ手の傘を持った人物が犯人であると識別できたということにすぎず、そのような取っ手は珍しくなく、被告人は被害者の真後ろではなく右後ろに立っていたと主張し、また、(2)被害者が振り返って被告人が犯人であることを現認したと供述する点については、被害者の背後に立っていた真犯人が、被害者がヘッドホンを外す動作に気付き、危険を察知して右後方に2、3歩、後ずさりして、人と人との間に紛れたため、被害者は右後方にいた被告人と真犯人を取り違えたものであるとして、被害者の犯人特定経緯について疑問を呈する。
しかし、(1)の点については、首を傾けて下を向けば、自己の臀部の側面に置かれた手や手首を観察しうることは経験則上明らかであるし、また、被害者は一連の観察を通じて犯人識別をしているのであるから、弁護人の指摘は当たらない。また、(2)の点については、弁護人の主張は、要するに、その想定する真犯人が真実に存在するという前提に立って、被害者の供述の信用性を論難するものであり、そうした真犯人の存在は、証拠上全くうかがわれず、後述の目撃者の供述にも明らかに反するものであって、その主張はいずれも採用できない。