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【スポーツ】

厳罰も復帰の道残す 亀田親子ら処分 内藤に謝罪し出直しを

2007年10月16日 朝刊

反則を繰り返す亀田大=11日、有明コロシアムで

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 世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトルマッチ12回戦で重大な反則行為があったとして、挑戦者の亀田大毅(協栄)が15日、日本ボクシングコミッション(JBC)から1年間のライセンス停止処分を下された。今後のボクサー生命さえも左右しかねない厳罰となった。 

 セコンドについた父・史郎トレーナーは無期限のセコンドライセンス停止、兄の興毅(協栄)は厳重戒告処分を受けた。協栄ジムの金平桂一郎会長は3カ月のクラブオーナーライセンスの停止となった。処分はいずれも同日付。

 亀田大は11日の内藤大助(宮田)との世界戦で反則を繰り返し、12回には相手を持ち上げてたたき落とす暴挙に出て減点3を受けた。

 処分は、過激な言動で物議を醸してきた亀田一家に対し、真摯(しんし)な反省を求めるJBCの意向が反映された内容となった。ただ、中には重い処分もあるが、いずれも復帰の道は残されている。

 1年間の試合停止となった亀田大だが、トレーニングを一切禁止されたわけではなくランニングなど、体力の向上に努めることは可能。斉藤慎一JBC倫理委員長も「この苦労を乗り越えれば立派に返り咲く可能性を秘めている」と今後に期待した。亀田興についても処分を“イエローカード”にとどめたのは、将来性への配慮と考えられる。

 4人はボクシングに対する冒〓(ぼうとく)も反省しなければならない。JBCによると、試合翌日からJBC事務局に抗議の電話が相次いだ。「反則が許される競技だったのか」「もうボクシングは見ない」などなど−。安河内(やすこうち)剛事務局長によると大半が「アンチ亀田というより、競技に対する失望の声だった」と言う。信頼回復へ、4人に課せられた責任は重い。

 試合翌日にコメントを発表した4人だが、反省の姿勢は、これまでうかがえない。父史郎トレーナーは試合2日後の13日、ボクシングジムの会長らで組織する「東日本ボクシング協会」の大橋秀行会長を突然訪ね、今回の件についてわびたというが、これは同協会が4人の処分をJBCに求める意向が新聞報道であった当日の出来事。「大目に見てくれ」と根回しに行ったとみられても仕方がない。

 もし本当に反省しているのであれば、最初にあいさつに行くべき人物がいる。試合終了後、お互いの健闘をたたえることなく背を向けた、チャンピオン内藤への謝罪なしに、未来はない。 (井上靖史)

<メモ>ボクシングの処分 日本ボクシングコミッション(JBC)規則第9条は「JBCルールに違反し、法律に抵触し、その他ライセンスを交付される資格に欠けると裁定された場合には、JBCからライセンスの取り消し、一定期間停止、その他の処分をされる」と定めている。JBCは亀田大の反則行為が、この第9条に抵触すると判断した。同第67条では「故意の反則、悪質なルール違反等をしたボクサーは、第9条に基づき処罰される」としている。

※〓は、さんずいに、右上に売、その下に貝

 

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