派手なパフォーマンスで人気を盛り上げてきた亀田一家だが、ボクシング界には追放を叫ぶ声もある=11日、有明コロシアム |
東日本ボクシング協会(東協)と日本ボクシングコミッション(JBC)は15日、亀田大毅(18)とセコンドについた父、史郎トレーナー(42)らに対する処分を決める。全国のボクシング界は厳罰を求める声で一致しており、亀田一家を守る立場の協栄・金平桂一郎会長は「海外出張中」。これにより、包囲網は完成した。ことここに至って東京・葛飾区の自宅兼道場に籠城(ろうじょう)する亀田家に反省の色は見えないという。
WBC世界フライ級王座を防衛した内藤大助(33)と所属する宮田ジムの宮田博行会長(40)は15日、JBCに対して要望書を提出する。宮田会長は同日朝、要望のなかで大毅の反則などに関する調査と、親兄弟のセコンドを禁じたWBC世界戦ルール38条の徹底を申し入れることを明言。「処分」は求めず、「ただ内藤に謝罪の言葉がほしいだけです」と語った。
理事会メンバーでもある協栄ジムの金平会長はなんと、内藤戦翌日の12日、協栄ジム所属のサーシャ・バクティンの12月の世界戦に関する交渉のためとしてロシアに飛び立った。ある老舗ジムの会長は「そりゃ、逃げたんだろう」と吐き捨てた。理事会は、亀田家擁護派理事不在のまま行われることになる。
一方の亀田一家は、11日の試合後、東京・葛飾区の自宅兼練習場にこもったまま姿をみせていない。縄跳びやサンドバックをたたく音は聞こえるので練習は続けているようなのだが、協栄ジムの関係者によると「こちらの責任者が携帯に電話をしてもガチャ切りされてしまう。自宅の電話もどうやら電話線が元から抜かれているようだ」。
これで困り果ててしまったのが、TBS関係者だという。「TBSさんからのテレビ出演に関する連絡など業務上の連絡まで、まったくできなくなってしまった」(協栄ジム関係者)といい、出演予定も立たなくなった。
一方、「国民の期待」に応えた内藤は、当日深夜のニュース番組に始まり、翌日の「みのもんたの朝ズバッ!」、土曜の「ブロードキャスター」、日曜の「サンデー・ジャポン」など、立て続けにTBSの番組に出演した。
投げ、ヒジ打ち、サミング(目つぶし)…。大毅のボクシングは反則だらけだった=11日、有明コロシアム |
だが、TBS関係者は「実は内藤が出た番組のうち、いくつかは世界戦の前から、たとえ大毅が負けても亀田家の人間が出演する予定だった」と打ち明けた。それが試合後、亀田家と出演に伴う連絡がまったくつかなくなってしまい、「急遽(きゅうきょ)、内藤に出演を依頼し、切り替えた番組があった」(TBS関係者)のだという。大人の対応の内藤が、ここでは亀田家を救った格好だ。
亀田一家は何をそんなに怒っているのか。協栄ジムの関係者は「実は12日にジムを通じて出した亀田一家のコメントに関して史郎氏が激怒し、完全にへそを曲げてしまった」と話した。
11日の試合後、追いすがる報道陣を無視して、会見も開かずに会場を去った亀田一家だが、その後、テレビ中継で兄の興毅や史郎氏が「ヒジでもエエから目に入れろ」「タマを打って」などと反則を指示していたことが全国に放映されていたことが明らかになり、協栄側があわてて、亀田一家に「謝罪コメント」を出すよう提案したが、史郎氏が「『なんでうちらが謝罪せにゃあかんのか』とゴネてしまった」(協栄ジム関係者)のだという。
「セコンドについたトレーナーとして大毅の反則行為を止められなかったことを反省しています」(史郎氏)、「オレが大毅に反則させるようなことは絶対にあらへん」(興毅)、「今回は完敗やった。それは素直に認める」(大毅)といったコメントは、ほぼ関係者が作成したもので、史郎氏はその内容に不満らしいのだ。
厳罰必至の情勢に至っても、反省をする気はないらしい。
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ZAKZAK 2007/10/15