セ・リーグクライマックスシリーズ第1S第2戦(14日・ナゴヤドーム)、阪神は中日に連敗して、クライマックスシリーズ第2ステージへの進出はならなかった。桧山進次郎外野手(38)が、この試合を最後に退団することが14日、明らかになった。タテジマ一筋16年。低迷期からチームを支えてきた。八回代打で登場して、見事に犠飛で打点を挙げた。07年の岡田阪神終戦の日、ファンに愛された男がチームを去る。
ベテランらしい仕事だった。岩瀬の初球、変化球をうまく拾うと簡単にセンターへ犠牲フライを打ち上げた。今季の阪神の最後の得点を挙げたのは桧山だった。だがこの勇姿が、タテジマを身にまとった桧山の最後の打席になるとは-。阪神一筋16年。低迷期から中軸を支え続けた猛虎戦士が、07年クライマックスシリーズ第1ステージで見納めとなった。
阪神で最も人気のある生え抜き選手。登場時には甲子園で最大の声援を浴びる存在だ。この日も3点を追う八回一死三塁の場面で、桜井の代打として出場。中日の守護神・岩瀬から1球で1点を奪った。試合、練習に取り組む姿勢も若手の手本であり、左の代打の切り札として存在感は十分。虎党の間では、まだまだ現役でという声も多いが、球団の判断は違った。
球団関係者は「本人が現役にこだわっているということは伝え聞いている」と理解しながら、来季の契約を結ばない方針だ。早ければ15日にも、球団からその意向を桧山本人に伝える見込み。その席で、桧山から現役続行の意思を強く訴えられた場合は、他球団への移籍も視野に入れ動くことになる。そうなれば来季は、違うユニホームでプレーする可能性もある。
桧山は今季、左ふくらはぎを痛め開幕2軍スタートし、5月4日から1軍に合流した。8月21日のヤクルト戦では代打満塁本塁打を記録するなど、記憶に残る活躍を見せた。だが林、桜井らが台頭するなど若手外野手の成長で出場機会は減少。85試合に出場し打率・191、3本塁打、13打点の成績に終わった。
試合後、ロッカールームから引き揚げてきた桧山はコメントを残すことはなかった。宿舎に戻りバスを降りると、厳しい表情を浮かべたままエレベーターへと乗り込んだ。そして自室に戻ると、16年間を共にしてきた伝統のユニホームを静かに脱いだ。