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たまきち★
おお振り、ブリーチ、戦国BASARA大隙ですvv
特に今はヘタリアにハマっています!!大和撫子な日本受け大好きですvvv
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2007年10月15日02:04それは全て僕があたえるものだから(米→日小説)
それは全て僕があたえるものだから暗い、重たい、喉が痛くなる空気だ。
咳き込むと要らぬ面倒がありそうだったから、袖口で鼻を覆った。
土塊を踏む足の先の感覚が新鮮だ。
何処を眺めても同じようにしか見えないここの何処かにいるのだと、漠然と感じた。

人間は死への存在だと言ったのは誰だったか。
気乗りしない退屈な時間を紛らわすため、タイトルも見ず手にとった本の内容はまったく覚えていないというのに、その断片的な一文だけは何時まででも覚えていた。
戦場では体温が高くなる。
まず頭が揺れて、首を通り背中を回り、手と足の先へ伝わって「熱い」と認識する。
確かに高揚している気分を持て余す。
肩にはM1ガーランド、最も信頼できる手の中にはコルト・ガバメント。
装填されている弾は7発。
どうしても使いたい場面以外は使うまいと決めていた。

耳鳴りのように聞こえてくる。
爆ぜ堕ちる瓦礫の音。
飛行機の旋回する音。
途切れ途切れの人の音。
目に馴染んだOD色の戦闘服の切れ端があった。
黒く滲んだ土と血の交じり合った深い色が、それに滲みこみ、点点と広がっていた。
思えば思うほど、ここは空から見る地上とはまったく違う景色である。
視線が低いことだけが原因ではない。
ここにはあらゆる音があり、色があり、景色があり、そのくせワンパターンで面白みがなく、騒々しい。
空からみるここは、もっと静かで小さく、轟々と赤く燃え燻る色だったはずだった。
浮かんでいく気分の高さを比例させて見る色が、自分の知っているこの国だった。

ほぼ壊滅状態へと追い込んだ相手側の海軍は動く術を既に持たない。
制海権を奪取し、物資や資源の輸送はひとつ残らず封じた。
あとは疲弊を待つのみで、ただ決して「早くしてくれ」などと思うことはなかった。
早まる気分を抑えながら深呼吸を繰りかえし、何時になく冴えている気分になる。
出来うる限り長い時間をかけたほうが良い。
そうして待つ間、自分の熱がどれほどまで高くなるかを知りたかった。

すべての目的の終点は彼に行き着く。
直接弾丸を撃ち込んで、言葉を発するその刹那を目撃しなければ終焉は有り得ない。
祈りは届くだろうか、彼に聞こえることはなくていいけれど。

「神様、どうか彼に慈悲をあたえないでください。救わないでください。癒さないであげてください」








***
米→日 太平洋戦争中盤あたりですvvv
一方通行な独占欲です。

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