室蘭、登別、伊達3市の市長と市議会議長が15日、医師の退職に伴う診療科や3次救急体制の休止で揺らぐ室蘭・日鋼記念病院(柳谷晶仁院長代行)に対し、診療体制の確保について異例の緊急要請を行った。新宮正志室蘭市長は「同院は地域の核で住民の不安は大きい。道に対しても3市で(医師確保を)要請していきたい」と述べた。
同院はこれまで、大学医局の医師引き揚げに伴い、産婦人科と地域周産期母子医療センターが休止、救急医療の機能も低下していた。室蘭市内の市立病院、新日鉄病院ほか他医療機関への負担が増していた。
さらに今年9月には運営する法人の理事長交代問題に端を発し、11月末までに院長を含めた医師10人が退職、循環器科と脳神経外科が休診、重とくな救急患者に高度な医療を提供する3次救急を担う救命救急センターの休止も濃厚となっている。
要請は、地域医療への影響が大きくなったことを受けた行動。「退職予定の医師に踏みとどまってもらいたいのと、地域の思いを伝える行動によるアピール」(田中洋一室蘭市保健福祉部長)が目的という。
新宮室蘭市長、上野晃登別市長、菊谷秀吉伊達市長と3市議会議長の計6人が同院を訪れた。勝木良雄・カレスアライアンス理事長、林茂常務理事、柳谷晶仁院長代行の3人が対応した。非公開で行われた。
会合後、勝木理事長は「必死に頑張っていくしかない。患者に対しては非常に申し訳なく思っている」と述べた。
新宮市長は「退職される医師には直接会えなかった。市民の気持ちを伝えたが、なかなか難しいよう」と感想を述べ、「1カ所の崩れは他病院にも影響する。早い段階で何とかしたい。3市で道に対しての要請も考えたい」との意向を示した。
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