2007年10月16日 更新

【BOX】84%が「甘い!」亀田家への処分に世論は厳しい声

度重なるレスリング行為。大毅(中央)が聖域のリングを汚した

度重なるレスリング行為。大毅(中央)が聖域のリングを汚した

 亀田家などに下った処分を受けて、父・史郎さん(42)とガチンコ舌戦を繰り広げたことがある漫画家、やくみつるさん(48)ら識者らからさまざまな意見が飛び出した。「妥当」という声や「甘い」という不満も。インターネットサイトのサンスポ・コムで行った緊急世論調査には、2時間で1万2440件の有効回答が寄せられ、うち83.8%に当たる1万420人が「甘い」と糾弾。地元の葛飾区では「葛飾から追い出した方がいい」という追放を求める声まで聞かれた。

 サンスポ・コムの緊急アンケートは15日午後7時から2時間実施。寄せられた1万2498件のうち有効回答は1万2440件。8月1日に行った朝青龍の処分に対する調査(回答1835件)と比べて7倍近い“注目度”だった。

 有効回答の内訳は「甘い」が断トツの1万420人(83.8%)で、「厳しい」が140人(1.1%)、「妥当」が1880人(15.1%)。年代が上がるごとにキツ〜い意見が多数を占め、60代以上では89.3%が「甘い」と回答。亀田家の無礼さにお年寄りはカンカンのようだ。

★甘い

 「父親の処分はもちろん、興毅への処分も甘い。厳重戒告なんて、朝青龍より楽じゃないか!」(兵庫県50代男性)

 「ここまで甘いとは思わなかった。全員ライセンス剥奪で妥当。何食わぬ顔で報道するTBSも腹立たしい」(宮城県20代男性)

 「保護者とバカ息子からライセンスを剥奪すべきだ。ボクサー以前に人間失格。日本人がおかしくなっていると思う」(東京都30代男性)

 「道徳から教育のやり直しが必要だ。これだけスポーツマンシップをコケにするような人間は、永久に追放すべき」(北海道30代男性)

 「(1)永久追放(2)切腹のどっちか」(東京都10代性別無記入)

 「スポーツをお金儲けにしてしまうメディアが作ったこの状況は、ボクシングを本当に愛している人たち全てに対する侮辱だと思います」(大阪府30代性別無記入)

★妥当

 「専門家が決めた処分ですから妥当なのでしょうが、どのような処分にも抜け道はある。十分な指導、監視を望みます」(北海道60歳以上男性)

★厳しい

 「亀田がいたから今回の試合が盛り上がった。亀田家以上に日本ボクサーで魅力がある選手はいない」(30代性別無記入)

◆漫画家のやくみつるさん

「処分は、興毅への(厳重)戒告を除いてボクシングの世界では厳しいのかもしれないが、甘いというより、意味がないと思う。処分が明けてから(本人たちが)劇的に変わることがあるのか。大毅が温厚な青年に変わるとは思えない。逆に敵愾心を醸成するだけではないか。(史郎氏のセコンドライセンス停止期間は)永久というわけではなく、リングサイドに立てないだけで、どれだけ更正の効果があるのか。大毅はボクサーライセンス1年間停止だが、実質的には数試合がとぶだけ。選手生命にかかわることはなく、たいしたことはないと思う」

◆11日の試合を生観戦し、自身のブログに感想を綴り反響を呼んでいるお笑いタレントのなべやかん

「選手に対して1年はちょっと重い、試合感覚が鈍るかな。ファイトマネーの没収か、半年くらいだと思っていた。お父さん(史郎氏)の無期停止は当然。ボクシング界でかばう人が誰もいなかったということ。日頃の行いがわかるでしょう? タイガーマスクの虎の穴(悪役養成機関)から抜け出て、違うトレーナーの元で生まれ変わり、真のボクシング選手になって欲しい」

◆作家の江上剛さん

「(全体的に)処分はそれほど重くなかったという印象を持つ。一番悪いのは父親(史郎氏)なのだから、(セコンド)ライセンス剥奪でもよかったのではないか。そうすれば(亀田3兄弟は父の指導を)あきらめて、別のジムで武者修行をし、いい選手になれるかもしれなかった。今回、(大毅の反則行為で)内藤大助選手に大きなけががなかったからよかったが、もし首の骨を折られていたら選手生命が終わっていただけに、こんな甘い処分は許されなかっただろう」

◆藤竹暁・学習院大名誉教授(メディア論)

「亀田一家の存在は、その登場からすべてをテレビ局がプロモートしてきた。メディアが人気をあおり、国民もそれに乗ったということを考えれば、次々と消費される芸能界のアイドルと同じ。問題は、こうしたことがスポーツの中で最もストイックとされるボクシングの世界で起きたという点ではないか。命を落とす危険もある中で、反則をしてでも勝って人気を得ればいいとする環境をメディアがつくったとしたら、その罪は大きい」

カベに張られた「世界王者養成場」の文字が悲しい…。ショックに包まれた亀田家に報道陣が集まった(撮影・斎藤浩一)

カベに張られた「世界王者養成場」の文字が悲しい…。ショックに包まれた亀田家に報道陣が集まった(撮影・斎藤浩一)

★“亀田家の地元”葛飾区も怒!「追い出した方がいい」

 処分が出た15日夜、葛飾区にある亀田家の自宅兼練習場「亀田道場」の最寄りの京成電鉄お花茶屋駅周辺では、処分に対する同情論は皆無。北口の商店街入り口にいた男性2人組は、ボクシング好きの1人が「1年じゃ軽すぎる。2、3年は必要」と言えば、もう一方が「やめてもらった方がいい。亀田家は葛飾にいらないよ。葛飾の名がすたる。追い出した方がいい」とまくし立てた。

 商店街で店を構える男性(58)は「1年じゃ刑が軽すぎる」と“刑”と表現して断罪。「あの態度はボクシングをやる資格がない。TBSにもバックアップした責任がある」と息巻く。男性会社員(27)は「オヤジさんの方は引退してもいいんじゃない」と突き放した。

 内装職人の男性(52)は「ここに来るときは、葛飾の名に恥じないように頑張ってもらいたかったが、最初から口が悪くて応援していない。問題は親の教育。処分を機に3人をバラバラにすれば闘争していい結果が出るのでは」と提言した。

 女子高校1年の7人組に聞けば、「威張っててムカツク」と亀田を応援している人はゼロ。内藤を家族で応援していたという中3の女子は大毅について「ファンもいると思うし、ちゃんと反省して復活してほしい」と言い、40代主婦は「処分はしようがない。でもああいうヒールがいるから盛り上がってるんでしょ」と話していた。

★首相も苦言

 福田康夫首相は15日夜、大毅の処分に関連し「スポーツの世界はフェアネス(公正さ)が大事だ。スポーツマンらしくやってほしい」と苦言を呈した。首相は「その場面を見ていなかったが(反則行為は)相当なものだったらしいね」と指摘。処分内容について「詳細に聞いていないが、やはり(反則が)ひどいという話を聞いているので、そんなものかと思う」と述べた。

★観戦の赤井英和「遅すぎる処分」

俳優で元WBC世界Sライト級7位の赤井英和は「強けりゃいいというものではない」と苦言を呈した。赤井はテレビの中継ゲストとしてリングサイドで観戦しており、「あんな反則は見たことがない。タイソンが(ホリフィールドの)耳を噛んだ反則に匹敵しますね。ヤケクソになったのでは」と分析した。

 今回の処分についても「もっと早く手を打つべきだった。亀田家は低迷していたボクシング界に脚光を浴びさせたので気を遣いすぎたのか?」と、周囲の対応の遅さにも疑問を投げかけた。

◆東日本ボクシング協会・大橋秀行会長

「協会の意見を尊重した処分を出してくれた。大毅君は悔しいと思うけど、この1年間で生まれ変わり、リング上でしっかり結果を出してほしい」

◆元世界2階級制覇王者で戸高ジムの戸高秀樹会長

「処分が軽いと同じことの繰り返しになる。僕も1年ぐらいブランクをつくったが、世界王者になれた。1年間頭を冷やしてほしい」

◆前世界Sフライ級王者・名城信男を指導する六島ジム・枝川孝会長

「仕方ない。晴れの舞台でやってはいけないこと」

◆亀田ファミリーと同様に父との親子鷹で世界フェザー級王者となったFukuokaジムの越本隆志会長

「反則は許されるものではないが、かなり重いと思う。今回はコミッションが早めの対応をした」