| 順天堂大学 名誉教授 佐藤 信紘 | 消化器内科 講師 大草 敏史 |
潰瘍性大腸炎(UC)は大腸に潰瘍が多発する原因不明の病気ですが、我が国では欧米と比べて少なく稀な病気とされていました。しかし、最近は年率約10%と増加の一途であり、20歳代で発病する方が多く、再発を繰り返して難治な病気として、厚労省の特定疾患にも指定されています。治療法としては、サラゾピリンやペンタサ、さらにステロイドが用いられ、病勢の鎮静化効果はありますが、難治例も多く、特に、ステロイドを減量すると再発して長期投与を余儀なくされ、ステロイドの副作用に苦しむ患者さんが多いのが現状です。
私たちは、原因治療を目標に腸内細菌の病原性について研究を進め、その結果、UCの病変粘膜から分離されたフソバクテリウム・バリウムが病原菌であることをつきとめました。そこで、同菌の除菌を目的として、抗菌薬多剤併用療法(ATM療法)を施行したところ、有効率は約80%という高い効果を得ました。また、再発率は1年間できわめて少なく(図)、大多数がステロイドを止めることができました。副作用はとくに重症なものはありませんでした。現在、インターネットで順天堂大のATM療法として喧伝され、日本全国から患者さんが来られて、うれしい悲鳴をあげております。
本治療法は原則2週間経口投与と簡便な治療法であります。従来の治療では効かない、また再発に苦しんでいる方がいらっしゃいましたら、是非、本治療法を試して頂きたいと思っております。ご相談をお待ちしています。
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