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亀田一家に厳罰 暴走許したJBCとTBS
相手を挑発するパフォーマンスで賛否の渦を巻起こしてきた亀田父子に厳罰が下った。これまで目立っていたのはリング外での言動だったが、世界戦のリングを汚した反則行為の数々に世論は一斉に反発、及び腰だった日本ボクシング協会(JBC)も厳罰で臨まざるを得なかった。人気低迷の起爆剤として亀田人気に寄りかかり問題行動の芽を摘み取れなかったJBC、視聴率のとれるタレントのように担ぎ上げてきたテレビ局。ブームに乗った両者にも責任の一端はありそうだ。
世界戦での反則行為に対し、JBC側は試合当日の11日、処分について明言を避けていた。しかし翌12日、JBCに抗議の電話が殺到し、事態は急変した。「ボクシングではない」「あれでも世界戦なのか」。圧倒的なファンの声を無視するわけにはいかなかった。
平成15年12月、亀田3兄弟の長男、興毅選手が「秒殺」をうたい文句にKOデビューを飾った。派手なパフォーマンスと個性的言動。あっという間に話題を独占する。人気低迷にあえいでいたボクシング界はブームを歓迎、TBSも亀田一家をタレント扱いした。この扱われ方が亀田一家の増長を促したといえる。
反則ととれる行為も目立つようになる。昨年3月、興毅選手のKOパンチは明らかにローブローだったし、今年2月、大毅選手は相手にのしかかるようにして強引にダウンを奪っている。技術指南役の史郎トレーナーも昨年9月、大毅選手のノンタイトル戦で観客と乱闘騒ぎを起こし警察から事情聴取されている。
JBCの安河内剛事務局長は、過去の問題行動が今回の厳罰に加味されたことを認めた上で「威嚇、恫喝(どうかつ)はチーフセコンドにあるまじき行為」と厳しく指摘した。しかし亀田一家を放任した責任については「そんな思いもする」と不作為を認めたものの、「興行面には深く立ち入れない」と言葉を濁しただけだった。
亀田陣営の試合を独占放送してきたTBSにも視聴率重視のあまりタレント扱いし過ぎた点はなかったか。スポーツ放映のあり方にも一石を投じた形だ。(国府田英之)