ありうるネタで、簡単に話題を呼べるネタだから狩田が慎重になっている面もあるんだろうけど、前半の紹介はまあ、わからないでもないかなと。
間違っているかどうかで言えば間違ってるんだろうけど、テレビ的な解釈としてはボーカロイドの説明についてはほぼ忠実なんだろうと思う。
意図はどうであれ、技術オタクとマンガやアニメなんかのいわゆる一般のオタクが混在して共存する街である「秋葉原」を象徴させるというのは初音ミクの流行の分析としては正確だぜ?
呆れたのは後半。あからさまにオタクへの差別報道になっているし、確かに初音ミクが歌っていた曲も急ごしらえのもの。音のズレがあるんですぐにわかる。
最後の部分がぶっつり切れているんでこのあとフォローアップがあったかどうかについては解らないんだけど、こりゃひどい。
取材対象を責めるのはやめよう
クリプトンとしては、取材を受けるという判断は間違っていなかったと思う。大手メディアによる会社の宣伝なわけだしね。
で、これは多分だけど、取材されたmixiの初音ミクコミュの管理人さんも、上手く乗せられちゃったんだろうな、と思う。
ネット絡みで会社とやりあったことがないと解りにくいだろうけど(狩田の経験はこの辺)、会社を相手にするとどうしても「信用できる」って考えがちなんだわ。
実際には企業はとりあえず疑っとけ、特にメディア系は要注意、なんだけどね。
じゃあ取材に対してどうすればいいの?
取材についてはこういう意見がある。
実は、私自身のとこにもよくTVの取材依頼があります。その際には
(オタク商品研究所plus TV局撃退の呪文)
「実際に放送される、編集後VTRの事前チェックが必須条件」
と、返せばだいたい向こうから断ってきます。TV局のV編はギリギリまで行われるのが常なのと、編集後VTRの再編集は最初からやり直しにもなりかねないので、これはほぼ不可能の要求です。それでも是非にと言うところは、よほど根性据えたところなので、信頼できる担当者と言ってもいいでしょう
これだとTV局相手にしか使いにくい。それにせっかくネットがあるのだから、これから取材を申し込まれたら「取材内容は全て公開させていただく、という条件ならばお引き受けします」といえばいいんじゃないかな?
これには先例がある。
3年ほど前、指輪物語の日本語字幕があの戸田奈津子の誤訳全開のものだったので、ファンが抗議活動を行っていたのだけど、マスコミの対応があまりにひどかったので取材に対しては内容の公開を求めるようになっていた。
当時取材を申し込んだ人の記述によると
開設者からはすぐに返事が来た。メールには「これまで私たちの趣旨をきちんと理解して報道していただいた例はまったくなく、報道されるたびに不満と怒りが渦巻いているような現状です」という趣旨のことが書かれていた。
(佐々木俊尚の「ITジャーナル」 インターネットが取材を変える日)
そしてメールは、こんな風に続いていた。「私たちの趣旨をきちんと理解いただけるのであれば、取材には応じたいと思います。ただ、取材についてはメールでのお問い合わせにお応えする方式でお願いしたいと思います。直接面会することとお電話でお話しすることについては、お断りしたいと思います。メールでのやりとりであれば、そのやりとりの詳細な内容をウェブにアップし、その後記事に掲載された折りに取材内容をどの程度正確にお書きいただいたかを検証できるからです」
というやり取りがあったらしい。
単純に拒否したり、あるいはV編をチェックしたりという手間をかけるよりはこの方がずっと賢明な手法だと思う。
それにもしこの条件が受けられないならば、それは偏向させる気があるということなのだから。
向こうが切り張りしてくるならば、こちらはその全部を明らかにすることで対抗すればいい。
武器は向こうにだけあるのではない。むしろこちらのほうがリソースの制限がゆるいというメリットがあるんだし、使わないのはもったいないぜ?
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