長野県小諸市の宗教法人「紀元会」の会員ですし店経営奥野元子おくの・もとこさん（63）が、同会施設内で集団暴行を受け死亡した疑いが強まり、長野県警は十五日、傷害致死容疑で、紀元会の会員ら未成年を含む計二十人を逮捕した。県警は同日早朝から、紀元会本部など県内数カ所を家宅捜索、捜査本部を設置した。

　県警は九月、自宅で暴行したと話した夫の和宏かずひろ容疑者（35）ら家族四人（紀元会会員）を傷害容疑で逮捕、傷害致死容疑に切り替え調べていたが、暴行は紀元会施設内で行われ、幹部らもかかわった疑いが浮上、同会の強制捜査に踏み切った。

　調べでは、少女ら会員は九月下旬、奥野さんを集団で暴行し、死亡させた疑いが持たれている。

　小諸市の病院が九月二十五日未明、「運ばれた女性が死亡し、体に殴られたようなあとがある」と通報して発覚。奥野さんの顔や体に複数の打撲痕があった。

　小諸署は同日、傷害容疑で和宏容疑者ら四人を逮捕。司法解剖で、けがと死亡との因果関係が強まり、傷害致死容疑に切り替えた。

　四人は家族間の不仲を犯行動機に挙げたが、供述が不自然だったため、小諸署は四人を追及。うその供述をするよう紀元会幹部から指示があったことを認めたという。

　同署は十月五日、四人のうち奥野さんの二女（26）ら二人を証拠隠滅の疑いで再逮捕していた。

　長野地検は十五日、和宏容疑者と長女の森久里子もり・くりこ容疑者（37）の二人を傷害致死罪で起訴した。

　紀元会は一九七〇年に設立された神道系の宗教法人で、本部は小諸市、舟橋元博代表。